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改正パートタイム労働法等パートタイム労働をめぐる問題②

2015.03.27.Fri.23:32
社労士

 労働基準広報の2015年3月1日号の
 
     弁護士&社労士がズバリ解決!
                   ~労働問題の「今」~


は、今回で7回目となります。今回は、6回に引き続き改正パートタイム労働法等パートタイム労働をめぐる質問に答えています。

 質問は、以下の2問です。

① 外食産業で労務担当役員をしております。
平成27年4月1日から、改正パートタイム労働法が施行になるということで色々検討しているところです。今回の改正法で正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の範囲が拡大されたということです。この禁止される差別的取扱いについて、今までの判例ではどのような場合にそれに該当するとしているのでしょうか?また、判例を踏まえて企業が留意すべき点をご教授ください。

② サービス業で人事労務課長をしています。
弊社は、パートタイム労働者が多いので、今回改正されるパートタイム労働法についてもいくつかの勉強会に参加しております。その中で、判例も勉強しましたが、正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者にあたるかどうかについて、それを否定した判例があるとの説明がありました。ただ、その内容については具体的に説明されませんでした。否定した判例の内容を教えて下さい。

今回は、①について紹介することにします。


*差別的取扱いを認めた判例


社労士 
  前回、説明したように、正社員との差別が禁止されるパートタイム労働者の範囲が拡大しました(新9条)。今回の改正以前にも、禁止される差別的取扱いであるとして損害賠償が認容された判例がありますので、それが参考になります。今後、禁止される差別的取扱いであると判断された場合にどうなるのかがわかるからです。


弁護士  

 損害賠償請求が認められた判例としては、丸子警報器事件(長野地上田支判平8.3.15 労判690号32頁)とニヤクコーポレーション(パートタイム労働法8条違反)事件(大分地判平25.12.10労判1090号44頁)があります。丸子警報器事件は、平成19年のパートタイム労働法改正(以下、「平成19年改正法」という。)前の時期に、「均等待遇の理念」を根拠として正規社員と非正規社員の賃金格差が一定程度以上の場合には公序良俗違反として違法となると判断した事例です。他方、ニヤクコーポレーション事件は、平成20年に施行された平成19年改正法8条に関する判例として注目されています。
 ここでは、まず、丸子警報器事件から見ていきたいと思います。


*丸子警報器事件

弁護士  

 事案としては、Y社に臨時社員として雇用された女性労働者Xら28名が、雇用期間2か月の雇用契約を反復更新して自動車部品製造の組立ラインの業務に継続して従事し、その期間は長い者で25年を超えていたというものです。しかも、同じ業務に従事する女性正社員と、職種、作業の内容、勤務時間、勤務日数に変わりはないのに、正社員よりも低い賃金であったため、これは賃金差別であって、同一(価値)労働同一賃金の原則という公序に違反する不法行為であるとして、損害賠償を求め提訴したものです。


社労士  

 判決では、同一(価値)労働同一賃金の原則について、「これを明言する実定法の規定が未だ存在せず、また、これに反する賃金格差が直ちに違法となるという意味での公序として存在するということもできないため、労働関係を規律する一般的な法規範として存在していると認めることはできない。」としながら、「同一(価値)労働同一賃金の原則の基礎にある均等待遇の理念は、賃金格差の違法性判断において、一つの重要な判断要素として考慮されるべきものであって、その理念に反する賃金格差は、使用者に許された裁量の範囲を逸脱したものとして、公序良俗の違法を招来する場合があるというべきである。」としました。


弁護士  

 平成19年改正法8条などの差別禁止規定がない時期に、「均等待遇の理念」を根拠に賃金格差を違法とした判決は、時代を先取りした判決といえると思います。


社労士  

 事実関係上の特徴としては、原告となった労働者と同じ組立ライン作業に従事する正社員との業務を比べると、作業内容、勤務時間及び日数などすべてが同様であったのに、臨時社員から正社員となる途を用意したり正社員に準じた賃金体系を設けたりせずに、臨時社員と正社員との顕著な賃金格差を維持拡大しつつ、臨時社員を長期間雇用継続したという点にあると思います。この事実関係が、「同一(価値)労働同一賃金原則の根底にある均等待遇の理念に違反する格差であり、単に妥当性を欠くというにとどまらず公序良俗違反として違法となる」という判断をもたらしたものだと思います。
弁護士  そのうえで、「Xらの賃金が、同じ勤務年数の正社員の8割以下となるときは、許容される賃金格差の範囲を明らかに超え、その限度においてY社の裁量が公序良俗違反となると判断すべきである。」として、その限度で損害賠償を認めました。


社労士  

 この判例は、平成19年改正法の前にでた判例として有名な判例ですね。現在では、平成26年改正のパートタイム労働法(以下、「平成26年改正法」という。)9条で禁止される差別的取扱いと評価されるのではないかと思います。


*ニヤクコーポレーション事件

社労士  

もう一つのニヤクコーポレーション事件は、新しい判例ですね。


弁護士  

 この事件は、平成19年改正法8条の適用が問題となった事件です。事案としては、Y社に約8年にわたり有期労働契約を更新して勤務し続けてきた準社員であるトラック運転手Xが雇止めされ、その雇止めには合理的な理由も社会通念上の相当性もないとして、雇用契約上の地位確認を請求し、さらに、賞与が正社員と比べて年間約40万円少ない点や週休日の日数が少ない点などで労働条件が差別的で、これらが平成19年改正法8条1項違反であるとして、不法行為に基づく損害賠償を請求したものです。


社労士  

 結論はどのようなものですか?


弁護士 

 まず、更新拒絶については労働契約法19条の1号(更新拒絶が解雇と同視できる場合)または2号(更新への期待に合理性がある)に該当するとし、更新の拒絶は、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められない。」と判断し、さらに、更新拒絶についての慰謝料請求も認められました。


社労士 

平成19年改正法8条違反の点はどうですか?


弁護士 

 平成19年改正法8条では、正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者を、(1)職務内容が正社員と同一、(2) 人材活用の仕組み(人事異動等の有無や範囲)が正社員と同一、(3)無期労働契約を締結している(実質上無期労働契約と同視できる有期労働契約を含む)、パートタイム労働者としていました。前回にも解説しましたが、平成26年改正法では、(3)の要件が撤廃され、(1)、(2)に該当すれば、有期労働契約を締結している パートタイム労働者も正社員と差別的取扱いが禁止されることになります(新9条)が、本件当時は(3)の要件がありました。そこで、裁判所は、XとYの間の労働契約が平成19年改正法8条2項の「反復して更新されることによって期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当と認められる期間の定めのある労働契約」であるとしたうえで、準社員の年間賞与額と原告Xが正社員に登用されたとした場合の年間賞与額との間に40万円以上の差があること、週休日の日数に準社員と正社員との間に差があること、退職金について合理的な理由がなく差異があることが、平成19年改正法8条1項に違反すると判断しています。


社労士  

 この判決は、原告Xを、パートタイム労働法の差別禁止の対象である「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」に当たるとしたのですね。その判断はどのようなものだったのですか?


弁護士 

 要件(1)については当事者間で争いがなく(正社員と同一の職務内容であると会社も認めていた)、要件(2)については、「就業規則上、正社員には『配転・出向』の義務付け条項があるが、準社員には 義務付けがないとして、人材活用の仕組みが同一ではないという会社の主張を退け、「正社員と準社員との間には、転勤・出向の点において、大きな差があったとは認められない。」、役職(チーフ、グループ長、運行管理者、運行管理補助者)への任命についても、「正社員と準社員の間で、配置の変更の範囲が大きく異なっていたとまではいえない」としています。(3)の要件については、先ほど説明したように、Xは有期労働契約が反復更新されているため、「期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当と認められる」と判断されています。


社労士  

損害額としては、どのように判断されていますか?


弁護士  

 賞与額の差額、週休日の割増分の差額が、損害賠償として認められました。


社労士  

 以上から、平成19年改正法8条の「差別的取扱い禁止」に違反するとして損害賠償が認められたこの判例を踏まえて、企業が留意すべき点を整理してみてください。


弁護士  

 この事件で、会社は、就業規則の規定から配置や責任の程度が正規社員とは異なると主張したのですが、裁判所は、実態からみて、準社員と正規社員は大きく異なるものではないと判断しています。ですから、形式的な就業規則規定で職務内容や人材活用の仕組み(人事異動等の有無や責任)を正社員と異ならせても、実態が大きく異ならないということなのであれば、平成26年改正法9条に違反するということです。就業規則などで無理やり(2)の要件に該当しないことにしようとしても、どこかで無理が生じます。業務の必要があってパートタイム労働者に正社員と大きく異ならない職務内容や配置や責任を持たせている場合には、正社員に近づける待遇を付与することが必要と思います。


社労士  

 この事件では、XとYとの間には「期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当と認められる」有期労働契約(平成19年改正法8条2項)があったと判断されています。また更新拒絶については、更新拒絶が解雇の意思表示と社会通念上同一視できる場合(労働契約法19条1号)であるか更新の期待に合理性がある場合(同法19条2号)であるとしたうえで、有期労働契約の更新申込の拒絶が「客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」と判断していますね。


弁護士  

 この事件で、原告は、大分労働局長にパートタイム労働法21条に基づく援助を求め、さらに同法22条に基づく調停の申請を行い、調停案受諾の勧告がされたけれども会社がこの調停案を受諾しませんでした。そこで原告が労働審判を申し立てて労働審判が出されましたが、会社が平成24年8月9日に異議申立てをし、その後訴訟に移行したものです。そして、訴訟移行後の平成25年3月23日に同年3月31日をもって有期労働契約を更新しないことを通知したというものです。更新拒絶の理由は、訴訟における原告の主張、訴訟に会社の他の従業員を巻き込んだ(陳述書を得ようとした)ことなどでした。更新拒絶は、訴訟に移行した後に出てきた問題でした。


社労士 

  調停段階で調停案を受諾していればこのような大きな問題にならないですんだかも知れませんね。


紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和



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改正パートタイム労働法等パートタイム労働をめぐる問題

2015.03.27.Fri.23:03
社労士

労働基準広報の2015年2月1日号の
 
     弁護士&社労士がズバリ解決!
                   ~労働問題の「今」~


は、今回で6回目となります。今回は、改正パートタイム労働法等パートタイム労働をめぐる質問に答えています。

 質問は、以下の3問です。

①スーパーマーケットで人事労務担当をしています。
平成27年4月1日から、パートタイム労働法が改正になると聞いております。弊社ではパートタイム労働者が多いので、色々影響が出てくると思います。今回の改正の経緯及びポイントと留意点を教えて下さい。

②食料品製造会社の総務課長です。
パートタイム労働者という言葉が、法令解説リーフレットや統計等色々なところで使用されていますが、どうもその内容が同じではないように思えます。パートタイム労働者を雇用する場合、事業主にパートタイム労働法で定められた義務が課せられますが、その対象を明確にする必要があると思います。色々定義があるのであれば、その違いを教えて下さい。

③婦人服販売業の取締役管理部長をしております。
今回のパートタイム労働法の改正では、正社員との差別的取扱いの禁止や均等待遇の確保が規定されたと聞いております。この改正点で会社が気をつけなければならないことを教えてください。

今回は、③について紹介することにします。

*差別的取り扱いの禁止(改正後9条)


社労士  

 これまで、正社員と短時間労働者であることを理由として、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の要件として、①職務の内容が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一であること。②人材活用の仕組み、運用等が、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、当該事業所に雇用される通常の労働者と同一であること。③ 無期労働契約を締結しているパートタイム労働者であることとされていましたが、改正後は、①、② に該当すれば、有期労働契約を締結しているパートタイム労働者も正社員と差別的取扱いが禁止されることになりました(第9条)。
 これは、③の無期要件を削除して有期労働契約労働者にも適用対象となりました(適用拡大)。この①、②への該当の有無の判断は、資料2(*省略)のようになっています。


*人材活用の仕組みが通常の労働者と同一


社労士  

 それから、②の要件については、通達では、「当該事業所における慣行その他の 事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるものであることであり、職務の内容や配置が将来にわたって通常の労働者と同じように変化するかについて判断することとなるものであること。これは、我が国における雇用管理が長期的な人材育成を前提になされていることが多い現状にかんがみ、差別的取扱いの禁止の規定の適用に 当たっては、ある一時点において短時間労働者と通常の労働者が従事する職務が同じかどうかだけでなく、長期的な人材活用の仕組み、運用等についてもその同一性を判断する必要があるためであること。」とされています。  


弁護士  

「見込まれる」とは、将来の見込みも含めるということであるということですが、ここで、有期雇用の労働者はどのようになるのですか?


社労士  

 有期雇用者の場合は、「労働契約が更新されることが未定の段階であっても、更新をした場合にはどのような扱いがされるかということを含めて判断されるものであること。」とされています。


*差別的取扱いの禁止とは


社労士 

  ①、②要件を満たした場合については、短時間労働者であることを理由として、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生 施設の利用のほか、休憩、休日、休暇、安全衛生、災害補償、解雇等 労働時間以外のすべての待遇について差別的取扱いをしてはならないとされています。


弁護士  

 ここでの取扱いで問題となる場合はどのような場合ですか?


社労士 

 待遇の取扱いが同じであっても、個々の労働者について 査定や業績評価等を行うに当たり、意欲、能力、経験、成果等を勘案 することにより個々の労働者の賃金水準が異なることは、通常の労働者間であっても生じうることであって問題とはならないとされています。ただ、当然、査定や業績評価は客観的に行われるべきであるとされています。
それから、経営上の理由により解雇を行う場合には、解雇対象の選定が妥当である必要があるが、通常の労働者と同視すべき短時間労働者については、労働時間が短いことのみをもって通常の労働者より先に解雇する場合には、解雇対象者の選定基準の設定において差別的取扱い がなされていることとなり、法第9条違反となるとされていますので、注意する必要があります。


*短時間労働者であることを理由とする不合理な労働条件の禁止(8条)


弁護士  

 改正法第8条は、事業主が、その雇用する短時間労働者の待遇を、当該事業所に雇用される通常の労働者の待遇と相違するものとする場合においては、当該待遇の相違は、当該短時間労働者及び通常の労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないという短時間労働者の待遇の原則を明らかにしたものであるとされていますね。


社労士  

 これは、「労働契約法の一部を改正する法律」(平成24年法律第56号)により、「期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止」の規定(労働契約法第20条)が新たに設けられたこと等を踏まえ、労働契約法第20条の規定にならい、法第8条において、法第9条から第12条までに規定される事業主が講ずべき措置の前提となる考え方として、すべての短時間労働者を対象とする短時間労働者の待遇の原則を規定したものとされています。


*留意点


社労士 

 パートタイム労働者の正社員との差別的取扱いの禁止や不合理な労働条件の差異の禁止が規定されたことにより、企業が気を付けなければならないことは何でしょうか?


弁護士  

 まず、通常の労働者と同視すべき短時間労働者への差別的取扱いの禁止の範囲が広がったことです。そのため、有期の短時間労働者であっても、通常の労働者と職務内容や人材活用の仕組みが同一であれば、短時間であるという理由による異なった取扱いが禁止されます。従って、これに反する解雇や配転は無効となりますし、事実行為であれば不法行為責任が発生することもあります。通常の労働者と同視すべき短時間労働者が、正規労働者と合理的な格差を超える賃金水準であったような場合、差額賃金相当分の損害賠償責任が発生することも考えられますし、場合によっては正規労働者の賃金表の適用となるかもしれません。


社労士  

 不合理な労働条件の差異の禁止はどうでしょうか?


弁護士  

 これも違反をした場合には違法となり、不合理な労働条件を定める規定は無効となるでしょう。「不合理な労働条件」かどうかの具体的内容は、表現が抽象的であるだけに、今後の判例の蓄積によるほかありませんが、例えば、通勤手当を正規労働者には実費で支払っているけれどもパートタイマーには支払わないという規定があったという場合、パートタイマーには支払わないとの部分が無効となる可能性が大きいと思います。ですから、パートタイマーの雇用管理については、「合理性」の有無の点から注意を払う必要があります。


紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和



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