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休日の振替の裁判例と注意事項

2013.04.26.Fri.20:04
社労士弁護士によるブログ
 ~森井労働法務事務所ブログ~

紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和 


社労士 
連載している労働基準広報の5月1日号は、暦日休日制の原則と例外、休日の振替、振替と代休、36協定の諸問題等について解説しているのですが、今回は、振替休日(法定休日)の裁判例や振替に係る注意事項を紹介したいと思います。

弁護士  
いったん特定されている休日(法定休日の場合)を他の日に変更する休日の振替が許容されるか否かについては問題はありますが、裁判例では就業規則や労働協約に根拠がある場合には許容されるとしています三菱重工横浜造船所事件、横浜地判昭55.3.28労働判例339号20頁)。これは、就業規則に業務上必要がある場合に休日を他の日に振り替えることがある旨の規定があって、就業規則所定の休日(4月13日と14日)を交通ストが見込まれた日(同月11日と12日)に振り替えたことについて、「労働者の同意、了解がなくとも、そのことの故に直ちに休日振替が違法、無効となるいわれはない。」と判断しています。黒川乳業事件(大阪地判平5.8.27労働判例643号64頁、大阪高判平6.9.9労民集45巻5・6号293頁)も同じ結論を取っています。
他方、就業規則による手続が適法に実施されていない場合(代わりの休日を特定していない場合など)には休日の振替とはならずほるぷ事件、東京地判平9.8.1労働判例722号62頁)、これは「代休」となります.「代休」の場合には後日代休を取得したとしても、35%分の支払が必要となります。

社労士 
解釈例規では、休日の振替を行う場合には就業規則等においてできる限り、休日振替の具体的事由と振り替えるべき日を規定することが望ましく、また振り替えるべき日については、振り替えられた日以降できる限り近接している日が望ましいとされています(昭23・7・5基発第968号、昭63・3・14基発第150号・婦発第47号)。
また、休日の振替は、4週4日の休日が確保されるものでなければならず、さらに休日を振り替えたことによって当該週の労働時間が週の法定労働時間を超えるときには、その超えた時間は時間外労働となり、時間外労働に関する労使協定(36協定)及び割増賃金の支払が必要である(昭22・11・27 基発第401号、昭63・3・14 基発第150号・婦発第47号)とされています。

弁護士 
さきほどのほるぷ事件では代わりの休日を事前に特定しておかなかったために振替としては違法であると判断されています。休日の振替をする場合、就業規則や労働協約などの根拠があり、そこで定められている振替の要件(「業務上必要な場合」など)があり、振り替えるべき日をあらかじめ(あらかじめ振替休日の日を指定した上で特定の休日を労働日とすること)特定しておく必要があります。従って、就業規則上の根拠があっても、休日を振替前休日よりも前の日に変更する場合(繰り上げ変更)には、振替後の休日よりも前に労働者に通知する必要があります。

社労士 
 以上のほか、よく問題となる振替と代休の違いについても図解して解説してますので、労働基準広報の5月1日号をご覧ください.



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アートの書類送検について

2013.04.21.Sun.17:39
社労士弁護士によるブログ
 ~森井労働法務事務所ブログ~

紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和 

弁護士
 新聞によると 4月18日、船橋労働基準監督署が、労働基準法違反容疑で、引越業大手「アートコーポレーション」(大阪府大東市)と同社の千葉支店長(33歳)を千葉地検に書類送検したということですね。被疑事実は、平成24年3月から4月末までの間、千葉支店の従業員5人に対し、労使間の協定で決めた1カ月当たり45時間の時間外労働時間を101~179時間超過して働かせたとしていることから、送検条文は労基法第32条ということになるのでしょうね。

社労士 
 そもそも時間外労働協定の協定時間をオーバーしているということで、労働基準法違反となるのですが、100時間を超えて残業させていたということですから、過重労働という点でも看過できない事案だったのでしょうね。100時間を超えて時間外労働をさせるということは、過労死のリスクが高く、業務と発症の関連性が強いと評価され、労災として認定される可能性が高くなります。

参考  出所:厚生労働省HP
過労死基準2

弁護士 
 過重労働については、監督署も「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」(平成18年3月17日付け基発第0317008号、平成23 年2月16日付け基発0216 第3号で一部改正)に基づいて、過重労働対策を強力に推進していますよね。この通達では、過労死等を発生させた事業場に対しては「司法処分を含めた厳正な対処」をするということも入っていますね。監督署は、過労死をするような働かせ方に対して厳しい姿勢で臨むということでしょうね。

社労士 
 実は、アートは道路貨物運送業に業種分類されるのですが、過労死等(血管疾患及び虚血性心疾患等)の労災補償状況を見てみると、平成23年度の厚生労働省発表のデータでは、過労死等の請求件数の多い業種は道路貨物運送業が123件でトップとなっています。次に、総合工事業が66件で2位、その他の事業サービス業が56件で3位となっています。このように道路貨物運送業は過労死等の請求件数がダントツに多いのですね。また、支給決定件数も道路貨物運送業が75件でトップで、総合工事業が24件で2位、飲食店が19件で3位ということで、請求件数が多いことから支給決定件数も多くなっているということです。ここから、道路貨物運送業は、他の業種に比して過労死リスクが高い業種といえると思います。

弁護士   
 アートに限らず、長時間労働をさせている会社は、これを契機に見直しを図る必要がありますね。



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硫化水素中毒と使用者責任

2013.04.20.Sat.22:33
社労士弁護士によるブログ
 ~森井労働法務事務所ブログ~

紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和 

社労士 
労働安全衛生広報で連載している「労働安全衛生監督ファイル」の4月15日号は、硫化水素中毒を取り上げています。硫化水素中毒の症状は厚生労働省のホームページでは以下のとおりとされています。

                   硫化水素中毒(出所:厚生労働省HP)
 硫化水素は自然界の様々な状況で発生しています。汚泥等の撹拌や化学反応等によっては急激に高濃度の硫化水素ガスが空気中に発散されることもあります。硫化水素ガスは嗅覚の麻痺や眼の損傷、呼吸障害、肺水腫を引き起こし、死に至る場合もあります。
 その、濃度と症状等は、以下のとおりです。

硫化水素 濃 度
         症状等
5ppm程度
不快臭
10ppm
許容濃度(目の粘膜の刺激下限界)
20ppm
   ↓
350ppm
   ↓
700ppm
気管支炎、肺炎、肺水腫
 
生命の危機
 
呼吸麻痺、昏倒、呼吸困難、死亡
   


弁護士 
 労働安全衛生法はこのような健康障害を引き起こす可能性のある危険有害な作業環境について、それを防止するため措置義務を事業者に課しています(労働安全衛生法22条)。
酸素欠乏危険場所は、労働安全衛生施行令別表第6に規定されていますが、このなかでも、「海水が滞留しており、若しくは滞留したことのある熱交換器、管、暗きょ、マンホール、溝若しくはピット又は海水を相当期間入れてあり、若しくは入れたことのある熱交換器等の内部」(3号の3)、「し尿、腐泥、汚水、パルプ液その他腐敗し、又は分解しやすい物質を入れてあり、又は入れたことのあるタンク、船倉、槽、管、暗きょ、マンホール、溝又はピットの内部」(9号)は硫化水素を発生させる危険があり、このような場所における作業を、特に「第2種酸素欠乏危険作業」と呼んでいます(酸欠則2条8号)。

社労士 
  酸素欠乏症等防止規則では、硫化水素が発生するおそれのある場所や酸素欠乏の状態を発生させるおそれのある場所(労働安全施行令別表第6に規定する場所)における作業のことを総称して「酸素欠乏危険作業」と呼んでいますが、労働者をこの酸素欠乏危険作業に従事させるときには必要な測定器具を備えること、換気を行うこと、空気呼吸器を使用させること、関係者以外の立入りを禁止すること、避難用具を備えることなどを事業者に義務付けています。また、硫化水素が発生している可能性のある物を取り扱う作業を行う場合には、あらかじめ作業の方法や手順を決定して労働者に周知するなどの措置を講ずるべきことが定められています(酸素欠乏症等防止規則25条の2)
  今回の労働安全衛生広報は、硫化水素中毒発生の注意義務違反を問われた判例を載せていますがその一部を紹介してもらえますか。

弁護士 
 それでは、その中の石巻市事件を紹介します。事件は、水産加工団地内に設置された、市が所有し管理する汚水管の清掃工事を市から請け負った会社が本管清掃部分を下請けに出し、下請業者に雇用された労働者が汚水管本管内で清掃工事をしていたところ、汚水から発生した硫化水素ガスを吸引して昏倒し、その場に滞留していた汚水によって窒息死したというものです。この事件は、4トンもの汚水が枝管から流れてきて清掃作業をしていた労働者が硫化水素を吸入したというものですが、判決では、元請会社の専務及び営業担当者に「被告市に工場排水の排出を停止させる措置をとるように要請し、これが履行されたことを確認するまでは、開発センターの作業員に主管の清掃作業を中止させる注意義務」、「枝管から工場排水が清掃区画の付近に流入するのを防止する措置を採るべき注意義務」があったのにこれらを怠ったとし、会社に使用者責任(民法715条)を認めています(石巻市事件、青森地判平1.11.21判例時報1337号103頁、仙台地判平1.3.3判例時報1325号110頁も同旨)。また、この判決では、市の管理責任(国賠法2条1項)も認めています

社労士
 硫化水素中毒は、毎年発生していますし、死亡等重篤な結果になることが多いものです。作業に就く労働者がその危険を十分認識することが必要ですので、そのための教育(労働安全衛生規則第36条:特別教育)も重要だと思います。


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仮眠時間を考える場合のポイント

2013.04.17.Wed.20:50
社労士弁護士によるブログ
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 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和 

社労士 
連載している労働基準広報の4月1日号は、労働時間の定義と判断基準、仮眠時間の考え方、休憩時間等について解説しているのですが、その中でも、仮眠時間についてはあなたが手掛けた訴訟の説明をしていますね。

弁護士
不活動仮眠時間の労働時間性を肯定した大星ビル管理事件(最(1小)判平14.2.28労働判例822号5頁)ですね。

社労士 
これは、労働時間について、勉強するときに必ず出てくる有名な判例ですが、ビル管理会社の従業員が従事する泊まり勤務中の仮眠時間について、実作業に従事していない時間を含めて全体が労働時間であるかどうか争われた事件ですね。

弁護士 
そうです。この事件で最高裁は、労働時間について、三菱重工長崎造船所事件(最(1小)判平12.3.9労働判例778号11頁)の判決と同じく、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」と定義づけたうえで、実作業に従事していない仮眠時間(「不活動仮眠時間」)が「労基法上の労働時間に該当するか否かは、労働者が不活動仮眠時間において使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものというべきである。」「不活動仮眠時間であっても労働からの解放が保障されていない場合には労基法上の労働時間に当たるというべきである。」と述べたうえで、当該の「仮眠時間」中も労働者が仮眠室における待機と警報や電話等に対して直ちに対応することを義務付けられていたことから、「本件仮眠時間は全体として労働からの解放が保障されているとはいえず」、不活動仮眠時間を含めて仮眠時間中は使用者の指揮命令下に置かれていたと評価しています。

社労士  
この判決では、「労働からの解放の保障」がキーワードとなっていますね。

弁護士  
仮眠時間もこの基準から考えて、労働時間と判断される場合に、その賃金をどうしていくか考える必要がありますね。

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大阪労働局の強制捜査

2013.04.11.Thu.23:06
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 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和 



弁護士
 先日、大阪労働局が捜索差押に入ったというニュースがありましたね。労働局や労働基準監督署の強制捜査のニュースは久しぶりの気がしますが・・・。

社労士  
 そうですね。全国紙に載るような強制捜査はこのところなかったですね。胆管がんを発生させた会社へのガサ入れだったのですが、久しぶりに捜査機関としての労働局があるということが分かってもらえたのではないかと思います。

弁護士
 確かに労働局や労働基準監督署が捜査機関であることを知らない人が法曹関係の中でもいますものね。  

社労士
 捜査を尽くしなさいとうはよく言われるのですが、相手がなかなか指示する物をださないなら、捜査を尽くすという意味でもやはり強制捜査はすべきだとおもいます。今回はそれを実践したことになるのであるべき姿を見せたことになるし、ニュースになったことで労働局や労働基準監督署の仕事に一般の方のご理解が得られる契機になったと思います。


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ブログ始めます!

2013.04.08.Mon.15:48
社労士弁護士によるブログ
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紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和 


社労士
現在、労働基準広報(企業通信社)に連載している「個別労働紛争実務マニュアル」(~弁護士&元監督官による対話式セミナー)で、個別紛争解決を解決する機関である労働基準監督署・労働局・裁判所における手続きの解説をしています。これは、現在多く発生している個別労働紛争について、どの機関にどのように申立てをすれば解決がうまく行くのかを対話形式で解説していくものです。
この対話形式は、読者の方から分かりやすく、読みやすいと言われているので、今回のブログは、このやり方でそれぞれの専門分野やそれに関するその時のトピックス等をコメントしていこうと思っています。

弁護士
どうしてブログを始めようと思ったのですか?

社労士
それは、労働関係の法令や労働基準法・労働安全衛生法の履行確保機関である労働基準監督署のことを一般の人はほとんど知らないし、また、企業の方や労働者の方も役所は縁遠い存在で、行きたいけれど敷居が高くてなかなか行きにくいと思っているという意見を多く聞いたからです。退職後、多くの人と触れ合う機会が増えたことにより、役所でやっていたことはなかなか一般の人や企業や働く人に届いていなかったのだと思うようになったのですね。そこで、ブログの場で少しでも今まで培ってきた経験が届けられればと思ったし、上記の法や役所の仕事を紹介している連載しているものの紹介もしたいと思ったからです。

弁護士
そうですね。労働安全衛生広報(企業通信社)で連載している「安全衛生監督ファイル」は、労働基準監督署での監督やその是正報告などを具体的に書いていますものね。5月15日号では、労働安全衛生法第30条2項の分割発注での発注者の指名に関係する事故を載せることとしていますね。

社労士
これは、読者の方から、実際に製造業の機械据え付け工事等の現場では発注者が分割発注しているのに特定元方事業者の措置を講ずべきものの指名しないまま工事が進められていることが多いけれど、その場合、事故等が発生した場合どうなるのかというお問い合わせがあったことがきっかけです。そこで、建設現場でも実際に起こっている指名の問題について今回、事例を取り上げて解説しようと思いました。

弁護士
連載している内容をお知らせすることで、興味のある方には読んでもらえる機会が増えますね。

社労士
また、私は、現在、改正労働契約法や改正高年法の講演や執筆を頼まれることが多いのですが、いわゆる第2定年問題等企業が頭を悩ませている問題もよく聞かれます。

弁護士
できれば、その時問題となっている事項やその解決方法の解説もできる範囲でしていければいいですね。

社労士
ということで、少しずつでも発信できればと思いますのでよろしくお願いします。


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