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プレス機械災害

2013.05.29.Wed.11:48
社労 
 連載している労働安全衛生広報の6月15日号、「プレス機械災害」を取り上げています。金属製品製造業で発生した労働災害です。今回は、このプレス機械災害で紹介した判例の中から最高裁判例を紹介したいと思います。
まず、事案の説明をしてください。


*事案

弁護士
 それは、400t機械を操作してチタン材のプレス加工に従事する労働者がプレス機に両手を挟まれて両手の指を挫滅する傷害を負ったことを理由として損害賠償を請求したという事案です(大津地彦根支判平22.5.27金融・商事判例1388号38頁、大阪高判平23.2.17金融・商事判例1388号34頁、最(2)判平24.2.24判例時報2144号89頁)。



*安全装置と法違反

社労士
 安全装置はどのような状態だったのですか?

弁護士
 この事件では、フートスイッチによって操作されるプレス機に、「作業者の手が危険領域に入らないようにするための装置」も安全装置も設置されていない状態で作業が行われたもので、労働安全衛生法第20条1号(労働安全衛生規則131条)違反となった事件でした。


*安全配慮義務

社労士
 安全配慮義務違反についての判断はどのようにされたのですか?

弁護士
 判決では、会社には「労働契約上、本件プレス機に安全装置を設けて作業者の手がプレス板に挟まる事故を確実に回避する措置を採るべき義務及び本件プレス機を使用する際の具体的な注意を」労働者に「与えるべき義務を負っていたにもかかわらず、これを怠り、その結果」本件事故が発生したと判断されました。


*弁護士費用

 社労士
 この事件では、弁護士費用についても注目された判断がされたということですが。

弁護士
 そうですね。この判決は、弁護士費用が相当因果関係にある損害に入らないと判断した原判決(大阪高裁判決)を破棄し、労働契約上の安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求については弁護士費用も相当因果関係に立つ損害であるとはじめて判断した最高裁判決としても注目されるものです.

社労士
 このほか、綾瀬市シルバー人材センター(岩間工業所)事件の解説やプレス機械災害に対する監督署の災害調査や是正勧告等についても解説していますので、労働安全衛生広報をご覧ください。


紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和 


*****森井労働法務事務所関連出版物の紹介*****

「The検証!! 労働災害事件ファイル」(労働調査会)森井博子&森井利和共著

「実務に活かす労働審判」(労働調査会)森井利和著


事件ファイル

労働審判



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年次有給休暇「事業の正常な運営を妨げる場合」の判例

2013.05.27.Mon.22:21
社労士 
 連載している労働基準広報の6月1日号は、「年次有給休暇」について、発生要件、法的性格、基準日、比例付与、時間単位年休、次季指定権、事業の正常な運営を妨げる場合、退職時の年休の行使、計画的付与、利用目的等の諸問題について解説しているのですが、今回は、「事業の正常な運営を妨げる場合」の裁判例を紹介したいと思います。

弁護士 
 労働者から指定される時季に休暇を与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合」には、使用者に時季変更権が認められます。その場合には、使用者は、「他の日にしてくれ」と言うことができます。ここで、 「事業の正常な運営を妨げる」とは、例えば年末の特に業務繁忙な時期だとか、同一期間に多数の労働者の休暇指定が競合したという場合が考えられます。
 この 「事業の正常な運営を妨げる場合」の解釈として、最高裁は、労基法39条の趣旨を、「使用者に対し、できるだけ労働者が指定した時季に休暇を取れるよう状況に応じた配慮をすることを要請しているものと見ることができる。」と判断し、「使用者としての通常の配慮をすれば勤務割を変更して代替勤務者を配置することが客観的に可能な状況にあると認められるにかかわらず、使用者がそのための配慮をしないことにより代替勤務者が配置されないとき」には、事業の正常な運営を妨げる場合にあたらないと判断しています(弘前電報電話局事件、最(2小)昭62.7.10労働判例499号19頁、判例時報1249号33頁)。

社労士  
 長期の年休の場合には、「事業」への影響が大きく、時季変更権の行使には、使用者にある程度判断を任せざるを得ない場合がありますね。このような場合には通常は労働者と使用者が調整を図るものでしょうが、そのような調整をしないでいきなり労働者が長期の年休の始期と終期を指定して時季指定した場合の時季変更権について、このような場合には、「右休暇が事業運営にどのような支障をもたらすか、右休暇の時期、期間につきどの程度の修正、変更を行うかに関し、使用者にある程度の裁量的判断の余地を認めざるを得ない。」と判断している判例もあります(時事通信社事件、最(3小)判平4.6.23労働判例613号6頁)。

弁護士   
 この事例は、科学技術記者クラブの唯一の常駐記者として勤務していた労働者が、事前の調整を経ることなく、1か月ほどの期間の有給休暇の時季指定をしたのに対して、会社が半分の期間を認め、半分の期間について時季変更権を行使したというものです。

社労士  
 この事案では、常駐記者が1人だったということですが、もっと短い期間の年休の時季指定であれば問題はなかったのですね。でも、近ごろは、ぎりぎりの人数でまわしていて、1人が欠ければすぐに事業の正常な運営に支障が出てくるということでなかなか年休が取れない事態も発生していますね。

弁護士  
 何度も年休の時季指定をしたのにそのたびに時季変更権を行使されたために結局年休を採ることができなかったという事案で、損害賠償請求が認容された事例もあります(西日本JRバス事件、名古屋高金沢支判平10.3.16労働判例738号32頁)。このように、恒常的な人員不足によって代替要員を欠くというのであれば、「できるだけ労働者が指定した時季に休暇を取れるよう状況に応じた配慮をする」義務(前掲弘前電報電話局事件最高裁判決)を尽くしたことにはなりません。

社労士
 以上のほか、よく問題となる退職時の年休の行使等様々な年休の問題も解説してますので、労働基準広報の6月1日号をご覧ください.



紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和



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安全パトロールに行ってきました。 所長が変われば現場も変わる!

2013.05.14.Tue.18:46
社労士
今日は、顧問先の建設現場の安全パトロールに行ってきました。

弁護士
内容はどうだったのですか?

社労士
所長ががんばっていて、現場でリスクアセスメントを進めたり、「見える化」に取り組んでいました。「見える化」では、現場の小さい段差もすべて黄色のマーカーで注意を促していたし、資格者の表示も顔写真も入れて誰でも分かるようにしてとても親しみやすさを感じました。注意表示も工事関係者だけでなく施主や来客者など誰でもが分かりやすいものとなっていました。リスクアセスメントでは、下請さんが書いてきたリスクの特定や評価についても赤ペンで所長のコメントが入っていて相互のやり取りがされていて、機能していることが分かりました。

弁護士
大手でなくても、工夫次第では中小零細でも色々取り組めるのですね。

社労士
そうですね。この会社は以前事故があり、社長が相当苦労されたことがきっかけで安全の取り組みを始めたものです。事故が起これば、中小零細の会社は簡単につぶれてしまうことを実感されたようです。ですので、社長もできるだけパトロールに参加します。

弁護士
トップの意識って大事ですね。

社労士
そうですね。所長が変われば現場も変わるし、社長が変われば会社も変わりますね。



紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和 



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労働基準監督官を志す人へ

2013.05.08.Wed.23:09
社労士
私は退職しているのですが、なお私の所に労働基準監督官の仕事に興味を持たれて、監督官の仕事の話を聞きに学生の方が見えることがあります。わざわざ事務所まで訪ねて来て下さる方もいて、そういう時に色々な話をさせて頂きます。

弁護士
そうですね。私の大学関係の知り合いの教授からも教えている学生に話をするよう頼まれることもありますからね。

社労士
今年は、大学で労働基準法や労働安全衛生法の履行確保機関としての労働基準監督署や労働基準監督官の話をさせていただきましたが、学生さんは、熱心に聞いてくださいました。

弁護士
実際に監督官の仕事って、法学部の学生でも具体的には分からない人が多いと思いますね。

社労士
監督官の仕事について、以前公務員試験の受験雑誌(現在は廃刊)の取材を受けて記事になったものがあります。この時話したことは今でもそう思っていますので、参考にしてみてください。
img075.jpg
クリックすると大きくなります。

また、監督官試験の募集の時のリーフレット(平成21年度)があります。以前私が書いた監督官の仕事の一部が紹介されていますので参考にしてみてください。
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クリックすると大きくなります。



紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和 


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分割発注と発注者の責任

2013.05.07.Tue.11:19
社労 
連載している労働安全衛生広報の5月15日号、「分割発注現場で発生した倒壊災害」を取り上げています。自動車メーカーが、設備工事業者に工場の設備のリニューアル工事を分割発注した事案での事故です。今回は、この分割発注に関する解説の一部を紹介したいと思います。

●安衛法30条2項の分割発注
弁護士
安衛法30条2項の分割発注を説明します。発注者が仕事を二つ以上の元請負人に分割発注した場合、複数の特定元方事業者が存在することになるので、そのうちどの特定元方事業者が作業間の連絡調整等の安衛法30条1項の措置をすべき任にあたるかの責任者を決める必要があります。このような場合、分割発注を受けた請負人の中からその任にあたる者を発注者が指名するというのが安衛法30条2項前段です。ここで指名された特定元方事業者が安衛法30条1項の措置を行う「統括安全衛生管理義務者」となります。
では、発注者から仕事の全部を請け負った元請が、元請自身はその仕事をしないで、さらに二つ以上の下請に分割発注している場合はどうでしょうか。この場合にも統括安全衛生管理義務者を指名する必要が出てきます。これを指名するのが、発注者から仕事の全部を請け負った元請です(30条2項後段)。
社労士
この統括安全衛生管理義務者が指名されれば、指名された者が「労働災害を防止するため、・・・・必要な措置を講じなければならない。」とされ(30条4項)、これに違反した場合には罰則の適用があります(Ⅰ20条1号)。
弁護士

では、分割発注をした発注者や、仕事の全部を下請に分割発注した元請が、統括安全衛生管理義務者を指名しなかった場合はどうなるでしょうか。30条2項に違反します。しかし、30条2項違反に対する罰則はありません。このことをご存じない方も多いのですが、罰則の規定はなく行政上の取締規定にとどまっているのです。

●指名がなされない場合
弁護士
発注者や仕事の全部を請け負った元請が統括安全衛生管理義務者を指名しない場合は、労働基準監督署長が指名するとされています(30条3項)。この場合、発注者又は請負人は、30条2項による指名ができないときは、遅滞なく、その旨を当該場所を管轄する労働基準監督署長に届け出なければならない(安規則643条2項)とされています。
社労士
では、指名がなされない間、安衛法30条1項の義務は誰が負うことになるのでしょうか。この場合は、それぞれの関係請負人の労働者に対しては、それぞれの特定元方事業者がその義務を負うことになります(昭42・4・4 基収第1231号)。

●作業間の連絡調整等と民事責任
弁護士
分割発注で、発注者から統括安全衛生管理義務者の指定がされた場合、統括安全管理義務者が作業間の連絡調整等の義務を負い、それ以外の特定元方事業者には安衛法30条1項の適用はなくなります(安衛法30条4項後段)。しかし、これによって免除されるのは、あくまで安衛法30条1項の作業間の連絡調整等の措置義務だけであり、そのほかの事業者としての労働安全衛生法上の義務を免れるわけではありませんし、民事上の安全配慮義務を免れるわけでもありません。分割発注をされた元請の労働者、下請会社の労働者、二次下請会社の労働者、三次下請会社の労働者に対しては、それぞれの労働契約上の使用者が安全配慮義務を負います(労働契約法5条)。また、下請会社の労働者(二次下請、三次下請の労働者も含む)であっても、元請会社からの指揮命令下で作業をしているという実態があれば、元請会社もまた安全配慮義務を負うというのが一般的な考え方です(前掲エム・テックほか事件高松高裁判決のほか、大石塗装・鹿島建設事件、最(1小)判昭55.12.18労働判例359号58頁、テクノアシスト(大和製罐)事件、東京地判平20.2.13労働判例955号13頁)。
ただ、統括安全衛生管理義務者が、分割発注された工事の関係請負人の労働者全員に対して当然に安全配慮義務を負うのではなく、労働者に対する指揮監督関係があるという実態を必要とします。従って、発注者から統括安全衛生管理義務者に指名されたとしても、その工事の関係下請会社の労働者全体について安全配慮義務があるわけではありません。指揮監督関係のある労働者についてだけです。
他方、損害賠償責任があるのは、安全配慮義務違反のあった場合に限りません。民法709条(不法行為責任)及び715条(使用者責任)に基づいて損害賠償責任を負うこともあります。

●発注者の損害賠償責任
社労士
発注者が「作業間の連絡調整」等の任にあたる統括安全衛生管理義務者を指名しなかったことと災害との因果関係があれば、不法行為に基づく損害賠償責任が発生することがありますよね。
弁護士
分割発注の発注者が「作業間の連絡調整」等にあたる者の指名を怠った点に過失があるとして民法709条の不法行為責任を肯定した判決があります(山形県水産公社事件、東京高判平1.2.23、一審は新潟地判昭61.10.31労働判例488号54頁)が、最高裁では、総括安全衛生管理義務者の指名をしなかったことと事故との相当因果関係がないと判断され、東京高裁判決は破棄されました(最(1小)判平5.1.21労働判例652号8頁)。新潟地裁判決、東京高裁判決の判断と最高裁判決の判断が異なりましたが、それだけ微妙な事実関係だったということです。
社労士
この判例につきましては、労働安全衛生広報で詳細に解説しておりますのでご覧ください。


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 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和 


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