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懲戒

2013.12.30.Mon.22:18
社労士
 連載している労働基準広報の2014年1月1日号は、懲戒について解説しています。具体的項内容は、*懲戒権の根拠 *懲戒権の限界 *懲戒の手段とこれを争う訴訟方法 *減給 *懲戒解雇 *懲戒事由 *懲戒処分の有効要件止等です。
 今回は、このうち、*懲戒処分の有効要件について紹介していくことにします。

 労働契約法15条では、「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。」としていますね。

弁護士
 そうですね。これは、従来の判例法理を法定化したものです。

社労士
 これによると、懲戒処分の有効要件として、第1に「使用者が労働者を懲戒することができる場合」であることが必要となりますね。

弁護士
 そのためには、懲戒事由と懲戒手段を明示した就業規則上の根拠が必要となります。この就業規則が周知されていることも必要です。また、この就業規則の懲戒規定は、これらが設けられる以前の事案に対して遡及的に適用されるべきではありません(不遡及の原則)。同一の事案に対して2回懲戒処分を行うことはできません(一事不再理の原則)。

社労士 
 刑法の罪刑法定主義の考え方と同じですね。

弁護士
 企業秩序違反行為に対する特別の制裁措置であるという性格からこのように考えられるのです。

社労士
 懲戒処分の有効要件の第2は、労働者の当該行為が就業規則の懲戒事由に該当し、「客観的に合理的な理由」があることが認められる必要があります

弁護士
 懲戒処分の効力を争う訴訟においては、懲戒処分の理由とされた労働者の行為があったのかなかったのかが判断されますが、この過程で、前に説明したように、懲戒規定が限定解釈されることが多いのですが、「行為の性質及び態様及びその他の事情」に照らしてこれに該当するかどうかが判断されます。

社労士
 懲戒処分の有効要件の第3は、「社会通念上相当である」と認められることです

弁護士
 懲戒事由に該当するとされても、労働者の行為の性質、態様、労働者のこれまでの勤務歴などに照らして不相当に重いと判断された事例は多くあります(セクハラ言動を重きに失して相当性を欠くと判断された例として、Y社事件、東京地判平21.4.24労働判例987号48頁)。ここでは、類似事案と比べて重すぎないかという点も考慮されます。
 また、たとえ就業規則や労働協約に明文の規定がなくても、本人に弁明の機会を与える必要があるでしょう。このような手続的相当性を欠く場合にも懲戒権の濫用となるでしょう。


社労士
  以上のほか、懲戒について、色々な角度から解説をしておりますますので、労働基準広報の2014年1月1日号をご覧になっていただければと思います。


紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和



*****森井労働法務事務所関連出版物の紹介*****

「The検証!! 労働災害事件ファイル」(労働調査会)森井博子&森井利和共著

「実務に活かす労働審判」(労働調査会)森井利和著


事件ファイル

労働審判



 
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浴室の塗装作業中の有機溶剤中毒

2013.12.22.Sun.19:49
社労士 

 連載している労働安全衛生広報の12月15日号、「浴室の塗装作業中の有機溶剤中毒」を取り上げています。事案は、マンション新築工事現場で浴室での塗装作業中に有機溶剤を吸入して、急性有機溶剤中毒になったというものです。この中では、有機溶剤中毒の原因と対策、建設業における有機溶剤中毒予防のためのガイドライン、事業者に対する監督署の是正勧告例、有機溶剤中毒と安全配慮義務に関する判例等について解説をしてます。今回はこの中から、有機溶剤中毒と安全配慮義務に関する判例について紹介します。

弁護士

 使用者には労働者に対する安全配慮義務があり(労働契約法5条)、使用者がこの安全配慮義務を履行しなかった結果労働者の身体生命に危険が及び死傷病が発生した場合、使用者は損害賠償責任を負います。しかし、安全配慮義務の具体的内容は、労働者の職種、職務内容、労務提供場所等によって異なってきます。その安全配慮義務の具体的内容となっているのが、安衛法や付属規則です。
 安衛法やその付属規則に定める事業者の措置義務は、直接には公法上の義務であるとする見解が多数なのですが、その内容は私法上の安全配慮義務の内容ともなり、その最低限の基準となります。従って、安衛法、安衛則、有機則やこれらに基づく告示、公示などの行政指針は、安全配慮義務の内容となり、これらに反した場合には労働者に対する関係で安全配慮義務違反ともなります(喜楽鉱業(有機溶剤中毒死)事件、大阪地判平16.3.22労働判例883号58頁)

社労士
 
 喜楽鉱業事件は、有機溶剤中毒により労働者が死亡した事件ですね。


弁護士

 喜楽鉱業事件は、廃油の収集、運搬、処理、再生等を業とする会社の労働者が廃溶剤タンクの清掃作業に従事して有機溶剤中毒によりタンク内で死亡したというものですが、労働者はタンク清掃作業を行うにあたって、送気マスク等の保護具を着用していませんでした
  裁判所は、「有機溶剤の特性、特にその有害性に鑑み、有機溶剤を取り扱う従業員に対する安全衛生教育を徹底し、有機溶剤による健康障害の発生を防止するために万全の安全管理体制を整えるなどの義務」が使用者にはあったとしています。そして、①あらかじめ安全を配慮した作業手順や注意事項(送気マスク等の保護具を使用しないでタンク内に入ることを厳に禁じるなど)を定めてこれを周知徹底すること、②日頃から有機溶剤の特性や安全をはかるための取扱い上の注意等についての教育、指導を行うこと、③タンク内の廃液剤が有機溶剤として有害・危険であることや保護具を着用せずにタンク内に入ることを厳禁するなどの表示をすべき義務などがあるのに、これらを怠った点に安全配慮義務違反があったとしています。①は作業主任者の職務と定められている事項(有機則19条の2)ですし、②は安全衛生教育(安衛法60条の2、安全衛生指針、「有機溶剤業務従業者に対する労働安全衛生教育の推進について」)にあたります。また、③は有機溶剤作業における掲示(有機則24条)・表示(25条)にあたります。

社労士

 以上のほか、有機溶剤中毒にかかる判例として、内外ゴム事件(神戸地平2.12.27判例タイムズ764号165頁)、みくに工業事件(長野地諏訪支判平3.3.7労働判例588号64頁)があります。詳しくは、労働安全衛生広報の12月15日号で解説していますので、をご覧になって頂きたいと思います。


紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和



*****森井労働法務事務所関連出版物の紹介*****

「The検証!! 労働災害事件ファイル」(労働調査会)森井博子&森井利和共著

「実務に活かす労働審判」(労働調査会)森井利和著


事件ファイル

労働審判



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