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石綿にばく露した設備管理員

2014.02.27.Thu.19:33
社労 

 連載している労働安全衛生広報の2月15日号、「石綿にばく露した設備管理員」を取り上げています。事案は、ビル地下3階のボイラー室の石綿除去工事において石綿除去養生シートが剥がれたため石綿が現場周辺の通路や機械室等に飛散し、機械室や通路にいたビルメンテナンス会社の労働者10名がばく露したものです。
 
 ここでは、*石綿ばく露事故の原因と対策 *石綿による疾病の認定基準 *事業者に対する監督署の是正勧告 *是正報告 *石綿に関する判例等についての解説をしてます。

 今回は、この中から、石綿に関する判例、その中でも事業者の安全配慮義務違反の責任を負うとされた判例について紹介します。


弁護士

 これまで、石綿を原因として中皮腫や肺がんの被害にあったという事件で、事業者の安全配慮義務違反の責任を負うとされた判例はいくつかあります。
 電力会社の従業員が火力発点所の試運転業務中に石綿粉じんにばくろして悪性胸膜中皮腫にり患して死亡した事件について、昭和35年6月以降には、「各職場に適切な呼吸用保護具を備え付けた上、試運転業務に従事する亡Eに対し、火力発電所建設時の保温材取り付け作業が行われている場では石綿粉じんが飛散していること、石綿粉じんの人体に対する有害性について、注意喚起・指導し、試運転業務を行う際にはこれを着用するよう具体的に指示すべき安全配慮義務を負っていたものというべきである。」と判断した中部電力事件(平21.7.7労働経済判例速報2051号27頁)は、旧特化則制定前の時点で立入禁止措置、保護具の備付、保護具着用の指示を、安全配慮義務の内容として明示したものとして注目されます。

 また、昭和39年ころからホテルの設備係として勤務し、平成14年4月に悪性胸膜中皮腫死亡した労働者の遺族が、そのホテルを被告として損害賠償請求をした事件があります(札幌国際観光ホテル事件、札幌高判平20.8.29労働判例972号19頁)。この事件では、当時の特化則で要求されている、局所排気装置による回避、呼吸用保護区の使用、湿潤化、立入禁止措置、健康診断等従業員としての健康管理の義務を講じていたとは認められないと判断されました。


 さらに、昭和52年から米軍横須賀基地においてアスベスト粉じんの生じる作業に従事してアスベスト粉じんにばく露し、平成18年に胸膜中皮腫にり患したと診断され、平成19年に死亡した労働者の遺族が国を被告として提起した損害賠償請求事件で、労働者が米軍横須賀基地で勤務をし始めた昭和52年当時でも、局所排気装置による合理的な通気システムを実現する義務、アスベスト作業者に安全教育を実施すべき義務、防護衣及び粉じん濃度に応じたマスクを整備してこれを着用してアスベスト作業にあたるよう従業員を指導監督すべき義務などを負っていたと判断しています(横浜地横須賀支判平21.7.6労働判例2063号75頁)。


 最近の事では、運送会社の従業員が石綿粉じんにばく露して悪性胸膜中皮腫によって死亡した事故について、運送会社に安全配慮義務違反を認めた事例もあります(日通事件、大阪高判平24.5.29判例時報2160号24頁。なお、この事件では運送を委託した石綿製造会社には責任は認められませんでした)。


社労士

 以上のほか、上記以外の石綿関連の判例や石綿則についても解説していますので、労働安全衛生広報の2月15日号をご覧になって頂ければと思います。


紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和



*****森井労働法務事務所関連出版物の紹介*****

「The検証!! 労働災害事件ファイル」(労働調査会)森井博子&森井利和共著

「実務に活かす労働審判」(労働調査会)森井利和著


事件ファイル

労働審判


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災害補償と安全配慮義務

2014.02.27.Thu.18:33
社労士

 連載している労働基準広報の2014年3月1日号は、災害補償と安全配慮義務について解説しています。具体的項内容は、*労働災害と個別労働紛争 *労働災害と損害賠償 *安全配慮義務の判例  *過失相殺 *過重労働事案等です。
 今回は、このうち、安全配慮義務を認めた判例の流れについて紹介していくことにします。

弁護士  
 
 そうですね。労働安全配慮義務を規定した労働契約法第5条の制定前から、使用者に安全配慮義務のあることは、判例上承認されて来ました。この問題についての初めての最高裁判決は、陸上自衛隊八戸車両整備工場事件の判決(最判昭50.2.25労働判例222号13頁)です。これは、自衛隊員が車両整備中に後退してきた大型自動車の後輪で頭部を轢かれた事件についての判断ですが、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務は、「ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般的に認められるべきもの」であると判断しています。


社労士  

 これは、自衛隊員で、公務員の事案であったわけですが、その後、民間の事案でも認められていますね。


弁護士

 そうですね。裁判所は、陸上自衛隊八戸車両整備工場事件における考え方を川義事件(最判昭59.4.10労働判例429号12頁)で、民間の労働契約関係にも及ぼしていきます。この事件は、宿直勤務中の労働者が窃盗犯にバットで頭を殴られて死亡したというものですが、最高裁は、労働者が労務を提供する過程において「労働者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮すべき義務」が使用者にはあると判断し、遺族の損害賠償請求を認めています。


社労士
  

 この2つの最高裁判決はいずれも災害性のものでしたが、次第にその範囲が拡大された判例が出てきますよね。


弁護士 

 そうですね。過労死や過労自殺(過重労働によって精神疾患に罹患し、その結果自殺した)の事件についても、損害賠償請求の根拠として使われるようになります。
 過労自殺の事件で損害賠償請求を認めた電通事件の最高裁判決(最判平12.3.24労働判例779号13頁)は、「使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なわないように注意する義務」があると判断しています。これは、使用者には、安全配慮義務の内容として、「労働者の心身の健康を損なわないように注意する義務」(健康配慮義務)があることを判断したものといえるでしょう。

 さらに、高血圧症の基礎疾病のある労働者が過重労働に従事して、この両者が共働の原因となって高血圧症性脳出血により死亡した事件について、使用者には健康診断を実施したうえで労働者の年齢や健康状態等に応じて従事する作業時間や内容の軽減等の措置をとるべき義務があると判断した判例(システムコンサルタント事件、東京高判平11.7.28労働判例770号58頁、最決平12.10.13労働判例791号6頁)もあります。

社労士 

 最近のものでは何かありますか?


弁護士  

 長時間労働の結果飲食店従業員が急性左心機能不全により死亡した事件で、「業務に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意すべき義務」が会社にあるほか、当該具体的状況の中では取締役にも「労働者の生命・健康等を損なうことがないような体制を構築すべき義務」があるとして、会社の損害賠償責任のほか取締役の個人責任(会社法429条1項、民法709条)も認められた判例もあります(大庄事件、大阪高判平23.5.25労働判例1033号24頁。最(3小)決平25.9.24で確定)。そのほか、自動車製造会社で部品のバイヤーとして勤務していた労働者が入社3年後に自殺した事例があります。裁判所は、この自殺は会社の安全配慮義務違反により長時間労働等の過重な業務に従事させられた結果、うつ病を発症したことによるものであるとして、会社に損害賠償責任を認めています(マツダ(うつ病自殺)事件、神戸地姫路支判平23.2.28労働判例1026号64頁)。


社労士

  以上のほか、安全配慮義務について、色々な角度から解説をしておりますますので、労働基準広報の2014年3月1日号をご覧になっていただければと思います。


紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和



*****森井労働法務事務所関連出版物の紹介*****

「The検証!! 労働災害事件ファイル」(労働調査会)森井博子&森井利和共著

「実務に活かす労働審判」(労働調査会)森井利和著


事件ファイル

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