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飲食店における転倒災害

2014.03.31.Mon.19:02
社労 


連載している労働安全衛生広報の3月15日号、「飲食店における転倒災害」を取り上げています。事案は、被災者が店舗の厨房で仕込みを終えたホルモンの入っている角バットを手に持って移動しようとしていたとき、床が油で滑りやすくなっていたため足を滑らせて転倒したというものです。この中では、*転倒災害の原因と対策  *4S活動 *事業者に対する監督署の是正勧告 *是正報告 *施設の瑕疵に関する判例等について解説をしてます。今回はこの中から、施設の瑕疵に関する判例について紹介します。


弁護士

 本件では、作業場である厨房の床面が油等の堆積のためにすべりやすくなっていたことに転倒の原因があります。これは、「作業場の床面については、つまずき、すべり等の危険のないものとし、かつ、これを安全な状態に保持しなければならない」との義務(労働安全衛生法23条、労働安全衛生規則544条)に違反していることになり、これが安全配慮義務の内容となっています。安全配慮義務の具体的内容は、「労働者の職種、労務内容、労務提供場所等安全配慮義務が問題となる当該具体的状況等によって異なる」ものです(前掲・川義事件最高裁判決)が、本件では床面を安全な状態に保持していなかった点に安全配慮義務の不履行があったと考えられます。


 ところで、物的設備の側面で安全な状態が保持されていなかったことは、土地工作物の瑕疵という観点から損害賠償義務が発生することがあります。土地の上に設置された建物の床面がすべりやすくなっていることは、土地工作物が本来持っているべき安全性を欠いていること(「瑕疵があること」)を意味します。この場合、占有者及び所有者(占有者と所有者が異なる場合、占有者に過失がないことが証明されたときには所有者が責任を負います)は、土地工作物の「設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、」その賠償責任を負います(民法717条)。

 本件のように建物内の床面がすべりやすくなっているために労働者がすべって負傷した場合には、安全配慮義務違反を根拠とするほか、民法717条を根拠にして使用者に損害賠償を請求することも可能です
  

 この民法717条の規定は労働契約関係にない者との関係にも適用されますので、本件では肉の納入業者が肉を搬入する際に油が堆積しているために床面ですべって負傷したような場合にも損害賠償請求の根拠となります。店舗が入居しているビル内の食堂街の通路に油や水が付着していたために歩行中の者がすべって転倒した事件で、「本件ビル7階の保存につき瑕疵があったというべき」と判断して、ビルの所有者に民法717条1項に基づく損害賠償責任が認められた事例もあります(東京地判平13.11.27判例時報1794号82頁)。また、レストランの自動ドアが「通常有すべき安全性を備えていたということはできず、その設置又は保存に瑕疵があった」ためにその自動ドアを通過しようとする際に閉じてきたドアに接触して転倒したという事件で、損賠賠償責任が認められた事例(東京地平13.12.27判例時報1789号94頁)もあります。


社労士



 以上ほか、今回は、増加している転倒災害の原因と対策、4S活動等についても解説していますので、ご覧になって頂きたいと思います。


紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和



*****森井労働法務事務所関連出版物の紹介*****

「The検証!! 労働災害事件ファイル」(労働調査会)森井博子&森井利和共著

「実務に活かす労働審判」(労働調査会)森井利和著


事件ファイル

労働審判
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パワハラ

2014.03.31.Mon.18:34
社労士

 連載している労働基準広報の2014年4月1日号は、パワハラについて解説しています。具体的項内容は、*「いじめ・嫌がらせ」のあっせん件数 *精神障害となった場合の労災補償 *パワハラの定義 *パワハラの行為類型 *パワハラに係る判例(労災認定事件)*パワハラに係る判例(損害賠償請求事件)等です。
 今回は、このうち、パワハラの定義、行為類型、判例について紹介していくことにします。


 パワハラは、パワーハラスメントを略したものなのですが、これが社会的な問題ともなってきていることから、平成24年3月15日に厚生労働省が設置した「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」(以下「円卓会議」という)が「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」(以下「円卓会議提言」という)を取りまとめています。また、その予備作業として、平成24年1月30日付の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」があります。
 この報告では、「パワーハラスメント」(以下「パワハラ」という)とは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義しています。そして、上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含まれるとされています。


弁護士

 この円卓会議提言では、パワハラの行為類型として、① 暴行・傷害(身体的な攻撃)、② 強迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)、③ 隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)、④ 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)、⑤ 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)、⑥ 私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)があげられています。


社労士

パワハラを原因とする精神疾患が労災認定される場合がありますが、これに関する判例がありますか? 



弁護士



 代表的な例としては、日研化学事件(東京地判平19.10.15労働判例950号5頁)がありますね。上司の指導が行き過ぎて労働者が精神疾患に罹患して自殺したという事案です。これが業務上災害かどうかが問題となり、遺族が遺族補償給付等を請求したところ、静岡労基署長は業務上としないで不支給処分としましたが、遺族がその取消しを求めた訴訟で、裁判所は業務起因性を認めて、静岡労基署長の処分が取り消されました。 
 裁判所の判断は、「一般に、企業等の労働者が、上司との間で意見の相違等により軋轢を生ずる場合があることは、組織体である企業等において避け難いものである。・・・上司とのトラブルにおける心理的負荷が、企業等において一般的に生じ得る程度のものであるかぎり、社会通念上客観的にみて精神障害を発症させる程度に過重であるとは認められないものである。しかしながら、そのトラブルの内容が通常予定されるような範疇を超えるものである場合には、従業員に精神障害を発症させる程度に過重でると評価されるのは当然である。」としています。


社労士


 この事例は、おそらく平成23年12月の「心理的負荷による精神障害の認定基準」が改正後であれば、最初から業務上認定がされていたと思います。
 
 
 パワハラで損害賠償責任が認められた判例にはどのようなものがありますか? 



弁護士


 代表的なケースとしては、K市水道局事件(横浜地川崎支判平14.6.27労働判例833号61頁、東京高判平15.3.25労働判例849号87頁)があります。この事件は、上司(課長、係長、主任)が、部下をいじめていたという事案です。「もっとスケベな話にも乗ってこい」といった猥雑なからかいをしたり、外回りから帰ってきた際に顔が上気していたりすると「酒を飲んでいるな」と嘲笑したり、「顔が赤くなってきた。そろそろ泣き出すぞ。」などと言ったり、太っていることへの嘲笑を繰り返したという事案です。その結果、当該労働者はほとんど出勤できなくなり、労働組合によるいじめの調査にも口裏合わせをして、当該労働者は医療機関で治療を受けていたものの、自殺をしてしまいました。
 一審判決も控訴審判決も、K市に対する損害賠償請求を認めましたが、7割という大幅な過失相殺(素因減額)がなされています。配置転換や治療を受けても功を奏さなかったことから、本人の資質と心因的要因が寄与していると判断されたためです。東京高裁は、「一般的に、市は、市職員の管理者的立場に立ち、そのような地位にあるものとして、職務行為から生じる一切の危険から職員を保護すべき責務を負うものというべきである。そして、職員の安全の確保のためには、職務行為それ自体についてのみならず、これと関連して、ほかの職員からもたらされる生命、身体等に対する危険についても、市は、具体的状況下で、加害行為を防止するとともに、生命、身体等への危険から被害職員の安全を確保して被害発生を防止し、職場における事故を防止すべき注意義務(以下「安全配慮義務」という。)があると解される。」と判断しています。


社労士

  以上のほか、パワハラについて、法律上の責任、行為類型ごとの判例の紹介等色々な角度から解説をしておりますますので、労働基準広報の2014年4月1日号をご覧になっていただければと思います。


紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和



*****森井労働法務事務所関連出版物の紹介*****

「The検証!! 労働災害事件ファイル」(労働調査会)森井博子&森井利和共著

「実務に活かす労働審判」(労働調査会)森井利和著


事件ファイル

労働審判


 

公益通報のシンポジウムに参加しました。

2014.03.17.Mon.21:36

社労士

 先日、東京の3弁護士会が合同して開催した公益通報についてのシンポジウムにパネリストとして参加しました。


弁護士
 今回のシンポジウム開催の背景は、弁護士がさまざまな場面で内部(公益)通報事件に関与することが多くなってきていますが,それでもなお,通報の処理をめぐって紛争が絶えず、弁護士がトラブルに巻き込まれ、あるいはその中心となることさえあるので企業コンプライアンスの重要な要素となった内部通報制度を健全に機能させるには、その運用に携わる弁護士の理解と使いこなすノウハウの蓄積が緊急に求められているということがある思いますます。


社労士

 私にパネリストとしてご依頼があったのは、公益通報については、監督署でも行政通報の窓口になっていますし、公益通報者保護法が制定される前から、申告や情報提供というかたちでいわゆる内部告発、通報等に関わってきたので、そのノウハウを話してもらいたいということだったと思います。


 参考
 
 労働基準法


(監督機関に対する申告)
 第104条
  事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を 行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。
 ② 使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。

(労働基準監督官の権限)
 第101条  労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用 者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる。


(報告等)
 第104条の2  行政官庁は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところによ り、使用者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
 ② 労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、使用者又は労働者に対し、必要な事項を 報告させ、又は出頭を命ずることができる。


 第102条  労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法 に規定する司法警察官の職務を行う。




弁護士

 私は、所用があり、出席できなかったのですが、参加者は多かったのですか?


社労士

 そうですね。当日は天候もよくなかったのですが、盛況だったと思いますし、皆さんよく聴いて頂いていたという気がします。


弁護士
 
 やはり、関心がある事項ですからね。


社労士

 実際に内部通報の外部窓口に関与されている方に挙手していただいたのですが、私が思ったより窓口をされている弁護士の方は多かったですね。

弁護士
 
 弁護士業務の新たな領域として広がりつつあるのでしょうね。


社労士

 私のイメージとしては、窓口だけでなく調査も相当やられているのではないかと思ったのですが、調査までやられているというのは少ないようですね。


弁護士
 
 そうですね。調査については、法律的な権限は特段ないので、あくまでも委託している会社の協力が必要だと思います。どこまで調査権限を与えられているのかが問題となると思います。例えば、サービス残業があるとの内部通報があった場合、タイムカードの調査まではできたとしても、それが書きかえられていた場合や、労働時間の記録が入出勤記録と大きく食い違いがあった場合に、どこまで事実関係を解明できるのか。個々の労働者の労働実態まで解明できるのかという問題があると思います。

社労士

 そうですね。そういう課題があるとしても、できれば調査まで踏み込んでもらったほうが実効性が上がると思います。

 今回のシンポジウムで感じたのは、内部(公益)通報については法律の専門家としての弁護士が関与する領域はまだまだ広くあるということです。社会的なニーズや期待もあり、新分野にチャレンジすることで、弁護士の社会的役割の幅を広げていくということも必要ではないかと思いました。
 

紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和



*****森井労働法務事務所関連出版物の紹介*****

「The検証!! 労働災害事件ファイル」(労働調査会)森井博子&森井利和共著

「実務に活かす労働審判」(労働調査会)森井利和著


事件ファイル

労働審判
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