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ブラック企業①

2014.08.31.Sun.21:38
社労士

 労働基準広報の2014年9月1日号から、新連載が始まりました。
 
     弁護士&社労士がズバリ解決!
                   ~労働問題の「今」~


という連載です。標題のとおり「今」問題となっている労働問題について、具体的な質問に答えながら、解説していこうとするものです。
 第1回は、ブラック企業に関係する質問に答えています。


 質問は、以下の3問です。

① 新卒の採用担当をしています。
景気が好転してきたせいか、新卒者にとって売り手市場となり、採用する側は次第に厳しくなっています。特に、ブラック企業ということについては、近頃の学生は敏感なようです。ブラック企業とみられることのないようにするには、どのようなことに気を付けたらよいかご教授ください。

② 会社の総務担当です。
6月20日に過労死防止対策推進法が成立したということですが、この法律が成立したことで、企業が気を付けなければならないことを教えて下さい。

③ 最近、わが社で発症前1か月間に100時間を超えて時間外労働を行わせていた社員が業務中に脳出血を発症しました。幸い命はとりとめたのですが、これが業務上ということで労災認定されました。過労により脳・心臓疾患を発生させた会社は、労基署から監督官が来て監督されると聞きました。監督官は主にどのようなことを調べるのでしょうか?また、これからは、どのようなに、気を付けたらよいでしょうか?

弁護士

 どれも企業にとっては、気にかかる問題だと思います。


*ブラック企業とは


社労士  

 第1問のご質問のように景気がよくなった影響で企業も採用を増やしたり、今まで採用を控えていた企業も新卒を採用するようになったりしていることから、採用・就職市場の状況が変化して、学生側が企業を選べるようになってきたということはよく耳にしますね。


弁護士  

 確かに、人気のある企業や業種でも採用の担当者は今までとは状況が違うと言っているくらいですから、これまでもあまり人が集まらなかったところの採用担当者は相当厳しくなると思っているのでしょうね。 


社労士

 企業を選ぶということになると、社会問題となっているブラック企業は避けたいと思うでしょうし、学生の親の方も心配して自らチェックしているということを聞いたことがあります。親としても自分の子供が使い捨てにされるような会社には入れたくないでしょうからね。
  ところで、ブラック企業という言葉は、2000年代後半から大量の労働者を採用して過酷なノルマを課して酷使し、労働者を使い捨てにする企業を指す言葉として用いられるようになったものですよね。



弁護士  

 はい、旧来の日本の雇用関係では、一方で使用者に割合と広範な指揮命令権があり、他方で使用者がこれを適切に行使して労働者の雇用や労働条件、そして労働環境を保持し、使用者が労働者の安全・健康に配慮することで均衡が保たれてきました。しかし、ブラック企業は、人的資源を大事にする日本的雇用慣行が崩れてきて、使用者の強力な指揮命令権だけが残っている状態で出てきたものと言えると思います。



*法律上の問題


社労士  

法律上の問題としては、直接的にはどんな問題ですか?



弁護士  

 労基法や労働契約法、労働安全衛生法の問題としては、長時間労働、賃金不払い残業、過重労働による健康障害が主なものと思います。



社労士  

 そうですね。昨年から厚生労働省が取り組んでいる「若者の「使い捨て」が疑われる企業等への過重労働重点監督の実施状況」(平成25年12月17日厚生労働省発表)を見ると、過重労働重点監督の対象となった5,111 事業場数の中での具体的な法違反ということになると、① 違法な時間外労働があったもの2241事業場(43.8%) ② 賃金不払残業があったもの1221事業場(23.9%) ③ 過重労働による健康障害防止措置71事業所(1.4%)の順で、①、②の合計で、67.7%を占めています。また、重点監督時に把握した実態を見ると、1 か月の時間外・休日労働時間が最長の者の実績で80 時間超が1,230 事業場(24.1%)あり、 うち100 時間超 が730 事業場(14.3%)もあったことが分かります。このことから、労働時間(過重労働)と賃金不払残業が主要な問題となっているのが分かると思います。



弁護士  

 そうですね、また、これに加えて、パワハラやそれに伴うメンタル不全の発症等も含めてブラック企業とされているようですね。



*ブラック企業と見られないためには


社労士 

  ですので、ブラック企業と見られないためには、労働時間(過重労働)と賃金不払残業の観点から問題がないかどうかを会社全体で点検することから始める必要があるのではないかと思います。さらに、パワハラのない職場環境を形成することも大事だと思います。
 今回のテーマ解説については、労働時間(過重労働)と賃金不払残業の観点を中心にしてブラック企業に関連した色々なご質問にお答えすることにしましょう。


社労士

 以上のほか、「過労死等防止法での企業の注意点」や「過労死事案が発生した企業の注意点」等の質問にも具体的にお答えしていますので、労働基準広報の2014年9月1日号をご覧になっていただければと思います。


紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和



*****森井労働法務事務所関連出版物の紹介*****

「The検証!! 労働災害事件ファイル」(労働調査会)森井博子&森井利和共著

「実務に活かす労働審判」(労働調査会)森井利和著


事件ファイル

労働審判

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製材工場で発生した蜂刺され災害

2014.08.31.Sun.19:53
社労士 

 連載している労働安全衛生広報の8月15日号、「製材工場で発生した蜂刺され災害」を取り上げています。事案は、製材工場の倉庫に丸のこ盤の接触予防装置を取りに行った被災者が、ゆがんでいて開けにくくなっていた倉庫のドアを押したり引いたりして無理に開けようとしたところ倉庫の軒下にあったスズメバチの巣から蜂が数匹飛び出してきて、腕を刺された。被災者は工場内まで逃げてきたが、そこで意識がなくなり、その場に倒れたというものです。
この中では
  *蜂さされ災害と災害時監督
 *是正勧告書
 *是正報告
 *蜂刺され災害の原因と対策
 *労災の業務上外の判断
 *安全配慮義務
 等について解説をしてます。

 今回はこの中から、労災の業務上外の判断の問題を紹介します。


弁護士


*労災の業務上外の判断
 労災保険が給付されるのは、「業務上」の負傷、疾病、障害または死亡の場合です。ここで、微妙な事案では、「業務上」かどうかが問題となってきます。本件で、同じようにスズメバチに刺されたとしても、休憩時間にスポーツをするためにその道具を倉庫に取りに行った場合になると、かなり微妙になってきます。
 「業務上」かどうかを判断するには、「業務遂行性」と「業務起因性」の2つの要件が必要であるとされてきました。「業務遂行性」とは、労働者が事業主の支配下あるいは管理下にあるなかでという意味であり、事業所内での作業に従事中の発生した事故であれば、これは問題なく認められます。
 また、「業務起因性」とは、労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にあることに伴う危険が現実化したものとして経験則上認められること(菅野和夫『労働法第10版』452頁)というのが一般的な考え方です。これを事故と業務の間に「相当因果関係がある」と言いかえることもできます。業務遂行性が認められれば、業務起因性が推定されます。業務遂行性(使用者の管理下にある)があるのに業務起因性が否定されるのは、業務に内在する危険とはいえない原因による被害の発生です。例えば、勤務終了後に職場で飲酒していたために転倒して傷害を負った場合、事業者の管理下にあるのですから業務遂行性はありますが、業務起因性はありません。また、例えば全くの私的原因から職場で作業中に暴行を加えられて傷害を負ったというような場合(接客職場を想定してみてください)、職場で作業中ですから業務遂行性はありますが、業務起因性はないでしょう。

*本件は業務上の疾病か
 本件では、事業者の管理下にあって作業の時間中に発生したものですから、業務遂行性はあります。また、特別指示がされないのに、丸のこ盤の接触予防装置を取りに行った際に発生したものですが、接触予防装置を装着するのは業務上当然のことですから、これを取りに行ったことは私的な行動ではありません。そこで、業務起因性は認められます。
少し問題は、スズメバチの存在は自然現象であるという点です。しかし、本件ではスズメバチが存在するかもしれない山林に近い製材工場での出来事ですので、職場の場所から考えても定型的に職場に存在する危険です。従って、業務起因性は肯定できるでしょう。また、本件では、昆虫の調査を実施して昆虫の発生の防止をすべき義務が事業者にあること(労働安全衛生法23条、労働安全衛生規則619条)は、スズメバチの発生が全くの自然現象ではなく、事業者がスズメバチの調査をしなかったことと本件事故との間にやはり相当因果関係があると判断されそうです。
これとは別の例を出せば、通りに面しているコンビニに自動車が突っ込んできたために店員である労働者が負傷したという場合、そのような場所で就労することによる危険が現実化したと考えられて、やはり業務起因性は認められるでしょう。

*業務上の負傷に起因する疾病
 本件では、被災者が、蜂に刺されたことによりハチ毒アレルギーによるアナフィラキシーショックを発症しています。これは、ハチによる刺傷から体内に侵入した毒素による疾病ということになります。
 業務上の疾病については、労働基準法第75条第2項で「前項に規定する業務上の疾病及び療養の範囲は、厚生労働省令で定める。」とされていて、労働基準法施行規則だ35条で「法第75条2項の規定による業務上の疾病は、別表第1の2に掲げる疾病とする。」とされています。
 別表第1の2の1号には、「業務上の負傷に起因する疾病」があります。昭和53年3月30日付け基発第186号通達によると、「業務上の負傷に起因する疾病とは、業務上の負傷が原因となって第一次的に当生した疾病(以下「原疾恵」という。)のほか、原疾患に引き続いて発生した続発性の疾病その他原疾患との間に相当因果関係の認められる疾病をいう。」とされており、「本規定に該当する疾病には、以下のものが含まれる。」として「
(ト) その他業務上の負傷に起因することの明らかな疾病。ハチやマムシ等による刺傷又は咬傷から体内に侵入した毒素による疾病もこれに該当する。」とされています。
 以上から本件では、被災者は、蜂に刺されたことによりハチ毒が体内に侵入しハチ毒アレルギーによるアナフィラキシーショックを発強調文症したと言えるので、別表第1の2の1号の「業務上の負傷に起因する疾病」ということになります。

社労士

  このほか、*蜂さされ災害と災害時監督 、 *是正勧告書、  *是正報告書、 *蜂刺され災害の原因と対策、 *安全配慮義務についても解説しておりますので労働安全衛生広報の8月15日号をご覧になっていただければと思います。



紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和



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「The検証!! 労働災害事件ファイル」(労働調査会)森井博子&森井利和共著

「実務に活かす労働審判」(労働調査会)森井利和著



事件ファイル

労働審判


総合労働相談員にお勧めする本です。

2014.08.10.Sun.19:36
社労士

 厚生労働省では、今年度の行政運営方針において

 若者の「使い捨て」が疑われる企業等への取組については、本省において、①「労働条件相談ダイヤル(仮称)」の設置による夜間や休日における相談体制の整備、②「労働条 件相談ポータルサイト(仮称)」の設置及び③大学等における周知啓発セミナーの実施に よる法令等の情報発信を行う。 「労働条件相談ダイヤル(仮称)」で受け付けた相談や情報については、所轄の労働基 準監督署へ取り次ぎ、事案の内容に応じて監督指導等を実施するなど、必要な対応を行う。

としていますが、これはいわゆるブラック企業対策ともいえるものです。

①については委託事業となっているのですが、的確な相談が行えるように「相談マニュアル」が必要となります。今回、私もその執筆者に加えて頂いております。そして、この「相談マニュアル」つくり等の座長は、東大の水町勇一郎先生です。

  マニュアルの検討の際にも分かりやすく話されているので、今回、水町先生が書かれた「労働法第5版」(有斐閣)を読んでみました。そこで、今までの労働法の基本書に比べると、実務的だし、読みやすい内容なのでびっくりしました。


弁護士

 そうですね。私の教えている法科大学院でも水町先生の本を労働法の基本書としてる学生が多いですね。

社労士

  分かりやすいし、判例も新しいものが相当入っているので、新しく総合労働相談員になられた方が読むのに最適だと思いました。総合労働相談員の方は、勉強家の方が多く、私が企画室にいたころもみなよく勉強されていました。この本を一通り読んでから、さらにより深めていくために記載されている判例にあたり、また、他の先生の本にも目を通すというやり方がいいのではないかと思います。そういう意味では、まさに基本書として最適ではないかと思います。また、労働基準監督官にとっても労働法全体を知るための本としては最適ではなかいと思います。


紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和



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「The検証!! 労働災害事件ファイル」(労働調査会)森井博子&森井利和共著

「実務に活かす労働審判」(労働調査会)森井利和著


事件ファイル

労働審判

派遣労働者の墜落災害

2014.08.05.Tue.23:13
社労士 

 連載している労働安全衛生広報の7月15日号、「派遣労働者の墜落災害」を取り上げています。事案は、災害は、鶏小屋の解体工事現場で、スレート屋根上でスレートをたたき落とす作業をしていた労働者が、誤って約4.5メートル下のコンクリート床に墜落たというものです。
この中では
  *墜落事故と災害調査
  *実況見分
 *労働者派遣法の適用
 *スレート屋根からの墜落防止対策
 *違法派遣と安全配慮義務
 等について解説をしてます。

 今回はこの中から、違法派遣と労働安全衛生法の適用の問題を紹介します。


弁護士

 本件、労働安全衛生法違第21条2項違反の事案ですが、違法派遣の実態があったものです。適法な派遣であれば、労働者派遣法第45条第3項で、派遣先の事業に関して、当該派遣先の事業を行う者を当該派遣中の労働者を使用する事業者とみなして労働安全衛生法第21条第2項の規定並びに当該規定に基づく命令の規定(これらの規定に係る罰則の規定を含む。)を適用することになっていますが、これが本件のような違法派遣にも適用になるかということが問題となったものですね。


社労士

  この問題については、厚生労働省職業安定局「労働者派遣事業関係業務取扱要領」(259頁)によれば「これらの規定は労働者派遣という就業形態に着目して、労働基準法等に関する特例(筆者注:労働安全衛生法の特例も含む)を定めるものであり、労働者派遣事業の実施につき許可を受け又は届出書を提出した者である派遣元事業主が行う労働者派遣だけではなく、それ以外の事業主が行う労働者派遣についても適用され、また業として行われる労働者派遣だけでなく業として行われるのではない労働者派遣についても適用されることになるので注意すること」とされており、違法派遣についても適用されることとしています。 
 したがって、本件の場合も労働者派遣法第45条第3項により派遣先の会社を被災労働者を使用する事業者とみなし、立件したものです。

 このほか、*墜落事故と災害調査、*実況見分、*スレート屋根からの墜落防止対策、*違法派遣と安全配慮義務につていも解説していますので、労働安全衛生広報の7月15日号をご覧になっていただければと思います。

紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和



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「The検証!! 労働災害事件ファイル」(労働調査会)森井博子&森井利和共著

「実務に活かす労働審判」(労働調査会)森井利和著


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