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構造規格を具備しないエレベーターでの墜落事故

2015.12.24.Thu.19:51
社労士 

 連載している労働安全衛生広報の2015年7月15日号、「構造規格を具備しないエレベーターでの墜落事故」を取り上げています。事案は、被災者が、工場2階のエレベーターの昇降路出入口において、2階にエレベーターの搬器が停止していないのに出入口の戸が開いたため、搬器にハンドリフト上のパレットに積載した製品を積み込もうとして、昇降路内の1階に停止していた搬器天井面に墜落したものです。このエレベーターは、ドアスイッチが正常に作動していない状態であり、かつ、ドアロックを具備していませんでした。この中では
  *エレベーター構造規格
  *エレベーターのドアスイッチ、ドアロック
 *エレベーター規制に係る労働安全衛生法と建築基準法
  *労働者死傷病報告
 *災害時監督
 *是正勧告書
  *構造規格違反とと安全配慮義務
等について解説をしてます。

 今回は、エレベーターの安全装置が不具合であったことにより労働安全衛生法違反に問われ事案を紹介します。


弁護士


 2009年2月25日、姫路市の食品会社の荷物専用エレベーターの搬器天井にパート労働者が転落し、エレベーターと壁の間に挟まれて死亡した事件がありました。この事件で、警察は理事長兼工場長、副工場長、それに3つある工場のうちの当該工場である第3工場の責任者を業務上過失致死罪で送検しましたが、検察庁は、副工場長及び会社を労働安全衛生法違反で、副工場長及び第3工場責任者を業務上過失致死罪で起訴しました(理事長兼工場長は不起訴)。裁判所は、副工場長及び会社には労働安全衛生法違反が成立するとして、双方とも安衛法違反については罰金刑とし、さらに、副工場長及び第3工場責任者には業務上過失致死罪が成立するとして、副工場長には執行猶予付きの禁固1年、第3工場責任者には罰金刑を科しました(神戸地判平25.4.11裁判所ウェブサイト掲載)。
 事実関係としては、労働者が出入り口外扉を手動で開いて2階からエレベーター内に荷物を搬入しようとしたところ、搬器は1階に止まっていて、それに気付かずにハンドリフトをエレベーター内に搬入しようとして、2階出入口から昇降路内に転落し、エレベーターの天井板の上面に落下したというものです。本来であれば2階外扉を開けようとしてもドアロックがかかって開かないはずなのに、外扉が開いてしまい、エレベーターの搬器がない状態に気づかずに進入してしまい、労働者が転落する事故が発生したのです。さらに、労働者が転落していることに気づかず、第3工場責任者がエレベーターを1階から上昇させたために、転落していた労働者が上昇する搬器と昇降路壁面に挟まれて死亡したというものです。
 この事件では、食品工場内に積載荷重0.65トンの手動式荷物搬送用エレベーターが設置されており、本来は、エレベーターの全ての出入口の戸が閉じていない場合には搬器を昇降させることができない装置(ドアスイッチ)及び搬器が昇降路の出入口の戸の位置に停止していない場合にはかぎを用いなければ外からエレベーターの当該出入口の戸を開くことができない装置(ドアロック)を具備したものでなければ使用してはならない(安衛則27条)のに、ドアロックを具備しておらず、ドアスイッチも設置後数年して不具合が出てきて正常に作動しない状態もあったのに当該エレベーターを利用して労働者に製品運搬の作業を行わせたという事実が、安衛法違反とされたものです。
 工場全体の安全管理者でもある副工場長は、この状態を認識していたのに、「本件エレベーターについて前記各装置が有効な状態で使用されるように整備を行わず、もって機械による危険を防止するため必要な措置を講じ」なかったとして、安衛法20条に違反すると判断されました。さらに、エレベーターの安全装置等について1か月以内ごとの期間に定期に自主検査を行うべきところ(クレーン則155条1項)これを行わなかったことが、安衛法45条1項に違反すると判断されています。そして、両罰規定(122条)によって、会社もまた罰金刑を科されています。
 この判決では、副工場長が業務上過失致死罪に問われていますが、その場合の過失の内容として、定期検査を実施していなかったこと、搬器が当該階に停止していないにもかかわらず出入口戸が開く不具合が不定期に発生していたのに修理業者に修理を行わせず、本件エレベーターの安全が確認されるまでは従業員の利用を中止させるなどの安全対策を講ずべき業務上の注意義務があった点があげられています。これは、安衛則27条、クレーン則155条1項の義務内容とほぼ同じ内容です。つまり、安衛法や安衛則、クレーン則で定められている安全基準は、刑事事件における「業務上過失」の内容ともなっているということです。つまり、安衛法やその下位規則の定める安全基準を遵守していない場合、それによって労災事故が発生した場合には、それが刑事上の「過失」と評価されることが多いということです。もちろん、「過失」が問われるのは安衛法違反のある場合に限りません。この事件では、起訴状において第3工場の責任者が問われた過失は、①第3工場の責任者であったのに安全対策を講じないで漫然と従業員に当該エレベーターの利用を継続させたこと、②昇降路内に労働者が転落している従業員の有無を及びその安全を確認すべき注意義務があるのにこれを怠って本件エレベーターを作動させた、との2点にありました。①の点は安衛法違反と内容は同じですが、②の点は安衛法や下位規則に明確な規定はありません。第3工場の責任者について、裁判所は、①の過失を否定して、②の過失を肯定しました。ですから、労災事故についての「業務上過失」の内容は、安衛法違反と重なる部分に限定はされません。


紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和

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移動式クレーンのジブが高圧電線に触れ感電

2015.12.24.Thu.19:33
社労士 

 連載している労働安全衛生広報の2015年6月15日号、「移動式クレーンのジブが高圧電線に触れ感電」を取り上げています。事案は、自災害は、鉄筋コンクリート造の二階建て店舗兼住宅の建設現場で、鉄筋の束の運搬を移動式クレーンを用いて行っていたところ、移動式クレーンのジブが高圧送電線に触れたため作業を行っていた被災者が感電したものです。。

この中では
  *移動式クレーン等の送配電線類への接触による感電災害の防止対策
  *昭和50年12月17日付け其発第759通達
 *労働者死傷病報告
 *災害調査
 *指導票
  *クレーンの高圧線接触に係る刑事事件と民事事件
等について解説をしてます。

 今回クレーンの高圧電線接触についての刑事事件や民事事件の判例をいくつか紹介していますが、今回は、この中から、民事事件反する過失があると判断された裁判例を紹介します。


弁護士


クレーンが高圧電線に接触して労働者が感電したという事件としては、平田重機事件があります(大阪地判昭62.11.27交通事故民事判例集20巻6号1522頁)。原告となったのは、ガソリンスタンドの給油設備の屋根の新築工事のうち鉄骨組立工事を下請けしていた個人事業者Aの労働者です。被告となったのは、この個人事業者Aではなく、クレーン車による資材の移動・運搬作業等を業とするやはり個人事業者Bです(これも下請と思われますが、判決にはその点の明示がありません)。原告労働者は、トラックに積載されている鋼材を、個人事業者Bの従業員であるCが操縦するクレーン車のクレーンによって所定の位置に吊り下ろす作業に従事していました。この労働者は、クレーンのワイヤーロープで吊りあげられた鋼材が横揺れしてガソリンスタンドの給油施設に触れることのないように手で鋼材を押さえていたのですが、クレーンのブームの旋回によって作業現場上空の高圧電線の至近距離に接近したために放電が生じて電流がワイヤーロープを伝って鋼材に流れ、鋼材を押さえていた原告労働者が両手両足に電撃による傷害を負ったというものです。この事件では原告労働者は玉掛係で、クレーンの操縦者Bに合図を送ってクレーン操作を誘導する作業にも従事していたのですが、現場上空に電線が架設されていることに気づかず、合図を送っていました。しかし、電線に気づかずに合図を送ってきた労働者にクレーン操縦をしていたCが警告や確認もしなかった点に過失があるとされ、個人事業者Bが民法715条の使用者責任を負うとされましたが、6割の過失相殺がされています。


  感電したことによって墜落した事案として、大森電設事件があります(札幌地判平4.5.14労働判例612号51頁)。砂利切込みプラント建設にあたって配線工事等を請け負った会社に臨時的に雇用された労働者が、通電状態にあることを知らないまま高圧ケーブルと構内第1柱上の区分開閉機のリード線の接続作業(端末作業)を行おうとしてリード線に触れたために感電し、その衝撃で高さ7.5mの建柱車のバケットから転落して死亡したという事件です。この事件で、裁判所は、北海道電力の電柱と構内第1柱の間の高圧架空線の接続を解除してから高圧ケーブルと区分開閉器の接続作業(端末作業)を当該労働者に行わせるべきであり、この接続を解除しない場合には少なくとも区分開閉器のスイッチを「切り」の状態に固定して、絶縁保護具等を装着させて作業を行わせるべきであったと判断しました。また、当該労働者が高圧ケーブルと区分開閉機のリード線の接続作業を行わせる時点において現場責任者が区分開閉機のスイッチが「切り」の状態にあることを確認すべきであり、これが「入り」の状態にあることが判明した場合には作業を中止させ、「切り」の状態に固定する措置を講ずべきであったとしました。この事件では、被災者が区分開閉機の確認をしなかったことや高圧検電器等を用いて検電しなかっ たことなどの過失相殺も問題となったのですが、裁判所は過失相殺を認めませんでした。高圧電気のそれ自体の危険性を考えてのことと思われます。


紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和


外国人技能実習生

2015.12.24.Thu.19:10
社労士

労働基準広報の2015年12月1日号の
 
     弁護士&社労士がズバリ解決!
                   ~労働問題の「今」~


は、今回で16回となります。今回は、外国人技能実習生をめぐる質問に答えています。

 質問は、以下の2問です。

①ある業界団体の専務理事をしております。現在、当業界では外国人技能実習生を新たに受け入れるため準備をしているところです。そこで、外国人技能実習生についてのニュースについては注意を払っているのですが、先だって厚生労働省が技能実習生を受け入れている実習実施機関に対する監督指導や送検の状況(平成26年度)について公表しているものを見ました。外国人技能実習生を受け入れると、このように労働基準監督署から監督対象にされることになるのでしょうか?また、送検件数も昨年の倍以上になっていますが、取り締まりが厳しくなってきたのでしょうか?この公表結果を踏まえて、今後気を付けなければならないことを教えて下さい。


②技能実習生が仕事中に重篤な怪我をしたり、死亡した場合、事業主の民事上の責任についてはどのように考えられるのでしょうか?技能実習生の場合、過失相殺、逸失利益、慰謝料についてはどのように考えるのでしょうか?判例等の具体的事例で説明して下さい。

今回は、②で安全配慮義務と不法行為等の問題について検討した箇所を紹介することにします。


*安全配慮義務と不法行為



社労士

 ところで、技能実習生には日本の法律が適用されることが前提となっているのですが、安全配慮義務の規定(労働契約法5条)も適用されますね。


弁護士 

そうです。そして、使用者に安全配慮義務違反があった場合の効果は民法が定めています。損害賠償責任が使用者に発生するということです(民法415条)。安全配慮義務は労働契約に基づくもので、契約などの法律行為の効力については、先ほど説明したように当事者の選択によって準拠法が決定されますが、技能実習生の場合には日本法が準拠法として選択されていると考えることができますので、民法の債務不履行の規定も適用されることになります。


社労士 

 労災による損害賠償請求の根拠としては、安全配慮義務違反のほか不法行為または不法行為の使用者責任もありますね。不法行為を根拠とした場合にはどうなりますか?


弁護士 

不法行為を根拠とした場合には、「加害行為の結果が発生した地の法による」(通則法17条)ことになります。日本で労災事故が発生して死傷または疾病という結果が日本で生じたのであれば、民法709条や715条の不法行為に関する法律が適用されます。


社労士 

 千葉地裁の事例* では、被災者の両親が損害賠償請求をしていますね。これはどちらの法律の適用によるものですか?

*仕事中のトラブルを原因として同僚労働者から暴行を受けて死亡した外国人技能実習生の父母が当該同僚労働者と会社に対して損害賠償請求をした事件(千葉地判平26.9.30判例時報2248号72頁)。この事件での損害賠償請求の根拠規定は、暴行をした同僚労働者については民法709条の不法行為、会社についてはその使用者責任(民法715条)*


弁護士 

 相続については、「被相続人の本国法による」ことになっています(通則法37条)。被災者は独身でしたので、この場合には中国法で相続人は両親となるため、被災者の両親に損害賠償請求権が認められたのです。


紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和





年休・夏季休日の取得妨害

2015.12.24.Thu.18:51
社労士

 労働基準広報の2015年10月1日号の
 
     弁護士&社労士がズバリ解決!
                   ~労働問題の「今」~


は、今回で14回となります。今回は、年休・夏季休日の取得妨害に係る判例についての質問に答えています。

 質問は、以下のとおりです。


 「商事会社で、人事労務担当課長をしております。
年次有給休暇は、取得促進のために今回の労働基準法の改正法案でも盛り込まれていて注目を浴びているところですが、労働者が年休の請求をしていなかった場合でも、年次有給休暇の取得妨害があったとして損害賠償が認められた判例が出たと聞いております。また、この判例では、夏季休暇や現実の労働時間と就業規則との不適合についても判断されているとのことです。
この判例のポイントと判例を踏まえて企業が留意すべき点をご教授願えればと思います。」


 今回は、この判決の事実関係と裁判所の判断、判決の特徴のについて検討した箇所を紹介することにします。


*判決の事実関係と裁判所の判断


社労士  


 今回出た判決(甲商事事件、東京地判平27.2.18労働経済判例速報2245号3頁)は、どのような事実関係だったのですか?



弁護士 
 

 この事件で、労働者は年間10日以上の年休権を持っていました。ところが、会社は、平成18年6月18日に、年次有給休暇については年間6日とし、原則として冠婚葬祭を理由とする場合のみ認めること、それ以外の場合は欠勤として処理する旨の「通達」を従業員に出していました。また、給与明細書には、平成15年7月分から有給休暇の残日数を0日とし、その後平成16年8月分の給与明細の記載は元に戻された(15日)ものの、平成18年6月分を境にして6日に変更されているというものでした。



社労士 

 それは、労基法39条に違反する通達ですし、労働者が有給休暇の時季指定をすれば労働義務が免除されますね。


弁護士 

 現実には、私用で年休を取得している労働者もいた(ただし、判決の事実認定からははっきりしないが、6日以内であったと思われる)ものの、原告2名のうち1名は上記の「通達」の後に年休を請求したけれども認められず、事故欠勤を理由に「皆勤手当」(賃金総額の1割以上を占める)をカットされています。この事件で原告となった労働者は2名だったのですが、そのうち1名は通院を理由とする年休しか取得しておらず、残りの1名も平成18年12月以降平成24年に退職するまで、年休を取得していません。れる)ものの、原告2名のうち1名は上記の「通達」の後に年休を請求したけれども認められず、事故欠勤を理由に「皆勤手当」(賃金総額の1割以上を占める)をカットされています。


社労士  

労働者は、現実には年休を取得することなく就労していたのですね。そうすると、年休手当は発生しませんね。


弁護士 

  そこで、原告側は、行使しなかった年休日数分の賃金相当分を損害賠償として請求し、そうでないとしても年休の取得を妨害されたとして慰謝料の請求をしたのです。裁判所は、年休の請求をしていないのだから労働義務が免除されてはおらず、賃金相当分の損害賠償は認められないが、会社が年休の取得を妨害したとして慰謝料請求を認めました。



*判決の特徴


社労士  


 結論は当然の判決だと思うのですが、この判決の特徴はどんな点にあるのですか?

弁護士  

 労基法の規定に基づいて年休権が発生した場合、使用者には、労働者がこの権利を行使することを妨害してはならない義務を労働契約上負っている点に特徴があります。労基法の定める継続勤務と8割以上の出勤を要件として当然発生した年休権について、「休暇の付与義務者たる使用者に要求されるのは、労働者がその権利として有する有給休暇を享受することを妨げてはならないという不作為を基本的内容とする義務にほかならない。」と判断した前掲白石営林署事件最高裁判決で、「有給休暇を享受することを妨げてはならない」義務のあることは既に判断されていたのですが、白石営林署事件は、現実に年休を取得したのに対して賃金カットをした分の請求がされた事件です。また、労基法39条の趣旨を、「使用者に対し、できるだけ労働者が指定した時季に休暇を取れるよう状況に応じた配慮をすることを要請しているものと見ることができる。」と判断し、休暇取得への配慮義務を認めた最高差判例もあります(弘前電報電話局事件、最(2小)昭62.7.10労働判例499号19頁、判例時報1249号33頁)が、これも労働者の年休請求に対して使用者が時季変更権行使をしたにもかかわらず欠勤したという事件でした。
これに対して、本件では、使用者の「通達」などによって年休の取得が妨害され       
た事件である点に特徴があります。

紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和


過重労働撲滅特別対策班(「かとく」)

2015.12.24.Thu.18:27
社労士

 労働基準広報の2015年9月1日号の
 
     弁護士&社労士がズバリ解決!
                   ~労働問題の「今」~


は、今回で13回となります。今回は、過重労働撲滅特別対策班(「かとく」)についての質問に答えています。

 質問は、以下のとおりです。

「商品販売のチェーン店を運営している会社の労務担当役員をしています。
7月2日にABCマートのチェーンの店舗が従業員に月100時間ほどの残業をさせたなどして、東京労働局がABCマートを運営するエービーシー・マートと同社取締役等を労働基準法違反の疑いで東京地方検察庁に書類送検したというニュースがテレビや新聞で大きく取り上げられていました。また、これは、働きすぎを防ぐために厚生労働省が設置した「過重労働撲滅特別対策班」の初の事件送致という報道もされていました。
実は、当社でも現在人手が足りないため、一部の店舗では長時間となっているところがあります。このニュースを聞いて早速会社の幹部が集まりわが社での長時間労働対策を早期に実施していくことになりました。ただ、その際に経営幹部の中には、労働局や労働基準監督署が送検できることを知らない者もおり、また、労働基準監督官の行う仕事についてもよく分からない者もおりました。この点、私も人に十分説明できるほど詳しくはありません。次の会議では、このことも踏まえて、さらに深めて事件のことや今後気を付けなければならないことを説明したいと思っています。そこで、説明するためのポイントをご教授願えればと思います。」

今回は、「かとく」と今後の動きについて検討した箇所を紹介することにします。


*過重労働撲滅特別対策班


弁護士  

 ABCマート事件は、過重労働撲滅特別対策班の第1号事件と言うことで、注目されましたね。この過重労働撲滅特別対策班の説明をしてください。


社労士  

 過重労働撲滅特別対策班は、厚生労働省が本年4月1日に、違法な長時間労働の監督指導に専従で当たるものとして、東京労働局と大阪労働局に設置したものです。東京労働局が7名で、大阪労働局が6名体制となっています。詳細は、大阪労働局が新聞発表した資料1をご覧ください。


弁護士  

 ここでは、過重労働撲滅特別対策班の業務を「長時間にわたる過重な労働が行われ、労働基準関係法令に違反し、または、違反する疑いがある事案であって①監督指導において事実関係の確認調査が広範囲にわたる事案 ②司法事件で捜査対象が多岐にわたる事案 ③ 被疑事実の立証等に高度な捜査技術を必要とする事案 等について、積極的かつ効率的な処理を行う。」とありますが、今までもこのような事件捜査を専門に行うセクションが労働局の中にあったのではないですか?


社労士   

 特別司法監督官のことではないですか。特別司法監督官は、複雑かつ大型化する事件を迅速かつ効率的に処理するために東京、大阪、福岡、北海道、愛知、神奈川、埼玉労働局等の比較的大局に配置されていて、独自で大型事件を処理したり、また、監督署の行う司法事件の支援を行っていて、「特司」と呼ばれています。特司も、過重労働撲滅特別対策班が設置された労働局労働基準部監督課の中に置かれています。


弁護士  

 特別司法監督官が、過重労働撲滅特別対策班のメンバーになることはあるのですね。

社労士  

そうですね。ただ、過重労働撲滅特別対策班は、過重労働に特化した事件を扱うのでしょうからメンバーになった特司は、過重労働に係る事件を集中的に取り組むことになるのでだと思います。


*今後の動き


弁護士  

過重労働撲滅特別対策班の今後の動きはどうなるのですか?


社労士  

 それには、次の7月3日の塩崎大臣閣議後記者会見概要が参考になります。
「(記者)昨日、エービーシー・マートが長時間労働により書類送検されました。「かとく(過重労働撲滅特別対策班)」による1号目の書類送検のケースになりますけれども、今回の送検を受けて他の企業にどのような影響があるのかというところと、冒頭にもありましたけれども、厚労省として長時間労働を是正していくための今後取組を強化する考えがあるのかを教えてください。
(大臣)昨日、東京労働局に設置をした「かとく」、過重労働撲滅特別対策班の活動によりまして過重労働に係る事案を書類送検したということでございます。私もその報告を昨日受けました。この「かとく」は、過重労働撲滅のための特命班ということで、本年4月から東京労働局と大阪労働局の2か所に設置をいたしまして、調査をし、頑張ってもらっていましたが、今般東京労働局の「かとく」が、その使命に応えるべく、積極的に対応して結果を第1号として出したということだと思います。当然、今申し上げたように厚労省としては、働き方改革、なかんずく長時間労働の撲滅をしていくということは大変重要なことであり、日本の働く文化の改革というか、風土の改革でもあるわけであって、これについては省を上げて取り組んでいかないといけないし、「かとく」には更に頑張ってもらって、こういった事例を見つけ次第しっかりと調査をして、今回のようなことにつながるように頑張ってもらうとともに、むしろこういうことが抑止力になって、長時間労働が減り、働く文化というものが変わって、より皆様方が人生を謳歌しながら働くことになってくれることを期待したいと思います。」
 下線は、私が引いたのですが、大臣は今後も更に頑張ってもらいと言われているので、第2弾、第3弾も起こりうるので、長時間労働が恒常的になっている企業は、是正にむけての対策を考えていくことが必要となると思います。


紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和
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