スポンサーサイト

--.--.--.--.--:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

マタハラ

2016.09.08.Thu.20:26
社労士

労働基準広報の2016年1月1日号の
 
     弁護士&社労士がズバリ解決!
                   ~労働問題の「今」~


ですが、マタハラについての下記の質問に答えています。


 
 
  製造業で、人事労務担当課長をしております。
  新聞に厚生労働省がマタハラ(妊娠や出産をめぐり不利益な扱いや嫌がらせを受ける「マタニティーハラスメント」)に関する調査 結果が公表され、マタハラ防止へ法改正することを検討しているという記事がありました。最近、当社でもマタハラ発言を上司が したということで問題となった事案があり、社員にマタハラ防止についての教育をしなければならないかと思っていたところです。
 まず、平成26年のマタハラに関する最高裁判決を例にとって、社内教育をしようと思っております。
  そこで、この判例のポイントと判例を踏まえて企業が留意すべき点をご教授願えればと思います。



  今回は、マタハラに関する最高裁判決とその意義の箇所について紹介します。


*マタハラに関する最高裁判決


社労士 

 ご質問でおっしゃっている判決は、広島中央保健生協(C生協病院)事件の最高裁判決(最一小判平26.10.23労働判例1100号5頁)のことですね。この判決はどんな判決だったのですか?


弁護士 


 妊娠した労働者が軽易業務への転換の請求をした場合、使用者は他の軽易な業務に転換させなければならない(労基法65条3項)のですが、この軽易業務への転換の際に副主任を免じたことを、使用者の裁量権を逸脱してはおらず、均等法が禁止する不利益な取扱いに該当しないとした広島高裁の判決(平24.7.19労働判例1100号15頁)を破棄して、差戻した判決です。


社労士 


どのような事案だったのですか?



弁護士 

 
 保健生協の運営する病院に理学療法士として勤務し、副主任の地位にあった女性が、妊娠して労基法65条3項による「軽易な業務」への転換の請求をし、訪問看護ステーションから病院のリハビリ科(病院内でリハビリを業務を行う)に異動となったものの、副主任を免ぜられ(管理職ではなり、副主任手当もなくなる)て勤務し、その後産前産後の休業、育児休業を取得した後、訪問看護ステーション(軽易業務前の職場)に職場復帰をした際にはこの労働者よりも経験年数の少ない副主任が既にいて、副主任に復帰することなく、かつての部下であった副主任の下で勤務することになったという事実関係です。そこで、当該労働者が、副主任を免ぜられたこと及び職場復帰した際に副主任に復帰しなかったこと均等法9条3項に違反するとして、差額賃金及び損害賠償(慰謝料を含む)を請求した事件です。均等法9条3項が正面から問題となった事件です。



社労士 

 一審の広島地裁判決(平24.2.23労働判例1100号18頁)も控訴審の広島高裁判決も、軽易業務への転換の際に副主任を免じたこと、出産休業及び育児休業を経て復職する際に副主任に戻さなかったことを、人事権の範囲内で行われたもので、均等法には違反しないと判断していましたがこの高裁の判断を否定したのですね。



弁護士 

 最高裁は、広島高裁の判決(平24.7.19労働判例1100号15頁)を破棄して、差戻しました。




*判決の意義


社労士 

 この判決の意義はどのようなところにありますか?



弁護士

 1つには、均等法9条3項の民事的効力を肯定したこと、2つには、均等法9条3項の判断をする上での枠組みを示したことです。
 

社労士 

 均等法9条3項に民事的効力があって、これに反する法律行為が無効となることは、従前から言われていたことですね。4


弁護士 

 当然のことですが、この判決は、最高裁が均等法9条3項の規定が強行規定であることを確認した初めての判決です。最高裁は、「均等法の規定の文言や趣旨等に鑑み、同法9条3項の規定は、・・・これに反する事業主による措置を禁止する強行規定として設けられたものと解するのが相当であり、女性労働者につき、妊娠、出産、産前休業の請求、産前産後の休業または軽易作業への転換等を理由として解雇その他の不利益取扱いをすることは、同項に違反するものとして違法であり、無効であるというべきである。」と判断しています。
 これは、均等法にとどまらず、育児休業や介護休業の申出または取得を理由とする不利益取扱いの禁止(育介法10条、16条の4)、育児又は介護を理由とする所定労働時間の短縮等の措置の申出またはその措置を理由とする不利益取扱いの禁止(育介法23条の2)も同様に考えられると思います。



社労士 

 妊娠や出産等を理由とする不利益取扱いについては因果関係が問題となりますね。解雇や降格などの不利益取扱いがなされた時期と妊娠や出産、産前産後休業後の復帰時、育児休業復帰時等と時期は重なっているのですが、使用者が不利益処分をした理由として労働者事情とか会社の業務上の必要性を主張することもありますね(今川学園木の実幼稚園事件、大阪地堺支判平14.3.13労働判例828号59頁。当該解雇は無効と判断された)。この点について、最高裁判決はどのように判断したのですが?



弁護士 

 その点がこの判決で重要なところと思います。
 降格についての判断ですが、「一般に降格は労働者に不利な影響をもたらす処遇であるところ、・・・女性労働者につき妊娠中の軽易作業への転換を契機として降格させる事業主の措置は、原則として同項(注 均等法9条3項のこと)の禁止する取扱いにあたるものと解されるが」、①「当該労働者につき自由な意思に基づいて降格を承諾したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとき」又は②「事業主において降格の措置をとることなく軽易業務に転換をさせるとことに円滑な業務運営や人員の適正配置の確保などの業務上の必要性から支障がある場合であって」、その業務上の必要性の内容や程度及び労働者に有利または不利な影響の内容や程度に照らして「上記措置につき同項の趣旨及び目的に実質的に反しないものと認められる特段の事情が存在するとき」には、禁止される不利益取扱いには当たらないと判断しています。



社労士

さきほどの因果関係の問題ですね。



弁護士
 
 そうです。均等法9条3項の因果関係を厳密に考えると、均等法9条3項に違反する降格であるとの立証はなかなか難しいのです。そこで、まず、女性労働者につき妊娠中の軽易作業への転換を「契機として」降格させる事業主の措置は原則として均等法9条3項で禁止されるものとし、例外として①合理的理由の客観的に存在する承諾のある場合、②業務上の必要性があり、しかも実質的に9条3項の趣旨目的に反しないと認められる「特段の事情」が存在するときには、禁止される降格ではないとしているのです。原則として違法であり、例外的に適法となる場合が2つあるというのですから、妊娠中の軽易作業への転換を「契機として」降格させたことを労働者が立証すれば、不利益な取り扱いが許容される事情にあることは、使用者の立証責任ということになります。



社労士 
 
 この事件では、軽易作業への転換にあたっての降格を労働者は承諾していなかったのですね。



弁護士 

 最高裁が控訴審の事実認定をまとめた部分では、「病院の事務長を通じて、上告人に対し、手続上の過誤により・・・異動の際に副主任を免ずる旨の辞令を発することを失念していたと説明し、その後、リハビリ科の科長を通じて、上告人に再度その旨を説明して、副主任を免ずることについてその時点では渋々ながらも上告人の了解を得た。」とあります。広島高裁は、労働者は同意していたと判断したのですが、最高裁は、単なる承諾では足りず、「自由な意思に基づいて降格を承諾したものと認めるに足りる合理的理由が客観的に存在する」ことが必要であるとしています。



社労士 

 具体的判断はどうだったのですか?



弁護士 

 労働者がどの程度業務上の負担の軽減が図られたのか明らかではない一方で、管理職から非管理職に変更され管理職手当の支給を受けられないという不利益を受けていること、本件で副主任を免ずるという降格が軽易業務期間中の一時的なものではなくその期間経過後も副主任に復帰することを予定していないものであったのに、その旨の説明を受けおらず、労働者の意に反するものであったことから、「自由な意思に基づいて降格を承諾したと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するということはできない」と判断しています。



社労士 

 使用者にとっては、降格を強引に承諾させても均等法9条3項に違反する降格となるということですね。



弁護士 

 そうですね。特に、降格がどのような性格のものであるのかを労働者に丁寧に説明した上で承諾を得る必要がありますね。


紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和



スポンサーサイト

トラックとフォークリフト間に挟まれる

2016.09.08.Thu.20:06
社労士 

 連載している労働安全衛生広報の2015年8月15日号、「トラックとフォークリフト間に挟まれる」を取り上げています。事案は、運送会社の支店でトラックに荷を積む作業をしていた作業員が、トラックとフォークリフトの間に腹部を挟まれ負傷したものです。

この中では
 *フォークリフトに係る災害とその防止対策
 *陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン
 *労働者死傷病報告
 *災害時監督
 *是正勧告書と是正報告
  *労働安全衛生法違反と安全配慮義務・刑事責任
  *フォークリフトの事故と刑事責任と不法行為責任
等について解説をしてます。

 今回は、この中から、フォークリフトの事故と刑事責任と不法行為責任についてを紹介します。


弁護士

 自動車(後述のように、フォークリフトも自動車です)の運転中に事故を発生させた場合、運転者は、従来は業務上過失致死傷罪(刑法211条)に問われましたが、平成19年(2007年)刑法改正によって、業務上過失致死傷罪から特に自動車運転による死傷事故を取り出して自動車運転過失致死傷罪(刑法211条2項)という新たな類型が作られ、「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者」についての罰則が一般の業務上過失致死傷よりも重くなりました。さらに、平成25年(2013年)に「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」が制定された(施行は平成26年5月20日)ことによって、この条文が刑法から同法にそのまま移動し、「過失運転致死傷罪」となりました(同法5条)。
過失運転致死傷の条文の「自動車の運転上必要な注意を怠り」という場合の「自動車」にはフォークリフトも該当します(道路交通法2条9号、3条、道路交通法施行規則2条)。本件のフォークリフトは最大荷重2トンですので、「特殊自動車」の中の「小型特殊自動車」とあたると思われますが、それも「自動車」にあたります。

  また、「運転」とは、「自動車の運転者が、自動車の各種装置を操作し、そのコントロール下において自動車を動かす行為を意味」すると考えられています(江口和伸「刑法の一部を改正する法律について」ジュリスト1342号138頁)ので、本件でフォークリフトを誤って前進させたことも「運転」となります。過失運転致死傷罪の「運転」は、道路上に限定される道路交通法上の「運転」(2条17号)とは異なり、場所的限定はないものと考えられています(江口「前掲」138頁)ので、道路上での運転だけではなく会社構内での運転も、過失運転致死傷の「運転」に該当します。そこで、フォークリフトを誤って前進させてしまったXの行為は自動車運転死傷処罰法5条の過失運転傷害にあたると思われます。
 
 この場合、Xの行為は不法行為(民法709条)となり、被災者の傷害による損害について、会社には使用者責任(民法715条)も発生することになります。



紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和
 | HOME | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。