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浴室の塗装作業中の有機溶剤中毒

2013.12.22.Sun.19:49
社労士 

 連載している労働安全衛生広報の12月15日号、「浴室の塗装作業中の有機溶剤中毒」を取り上げています。事案は、マンション新築工事現場で浴室での塗装作業中に有機溶剤を吸入して、急性有機溶剤中毒になったというものです。この中では、有機溶剤中毒の原因と対策、建設業における有機溶剤中毒予防のためのガイドライン、事業者に対する監督署の是正勧告例、有機溶剤中毒と安全配慮義務に関する判例等について解説をしてます。今回はこの中から、有機溶剤中毒と安全配慮義務に関する判例について紹介します。

弁護士

 使用者には労働者に対する安全配慮義務があり(労働契約法5条)、使用者がこの安全配慮義務を履行しなかった結果労働者の身体生命に危険が及び死傷病が発生した場合、使用者は損害賠償責任を負います。しかし、安全配慮義務の具体的内容は、労働者の職種、職務内容、労務提供場所等によって異なってきます。その安全配慮義務の具体的内容となっているのが、安衛法や付属規則です。
 安衛法やその付属規則に定める事業者の措置義務は、直接には公法上の義務であるとする見解が多数なのですが、その内容は私法上の安全配慮義務の内容ともなり、その最低限の基準となります。従って、安衛法、安衛則、有機則やこれらに基づく告示、公示などの行政指針は、安全配慮義務の内容となり、これらに反した場合には労働者に対する関係で安全配慮義務違反ともなります(喜楽鉱業(有機溶剤中毒死)事件、大阪地判平16.3.22労働判例883号58頁)

社労士
 
 喜楽鉱業事件は、有機溶剤中毒により労働者が死亡した事件ですね。


弁護士

 喜楽鉱業事件は、廃油の収集、運搬、処理、再生等を業とする会社の労働者が廃溶剤タンクの清掃作業に従事して有機溶剤中毒によりタンク内で死亡したというものですが、労働者はタンク清掃作業を行うにあたって、送気マスク等の保護具を着用していませんでした
  裁判所は、「有機溶剤の特性、特にその有害性に鑑み、有機溶剤を取り扱う従業員に対する安全衛生教育を徹底し、有機溶剤による健康障害の発生を防止するために万全の安全管理体制を整えるなどの義務」が使用者にはあったとしています。そして、①あらかじめ安全を配慮した作業手順や注意事項(送気マスク等の保護具を使用しないでタンク内に入ることを厳に禁じるなど)を定めてこれを周知徹底すること、②日頃から有機溶剤の特性や安全をはかるための取扱い上の注意等についての教育、指導を行うこと、③タンク内の廃液剤が有機溶剤として有害・危険であることや保護具を着用せずにタンク内に入ることを厳禁するなどの表示をすべき義務などがあるのに、これらを怠った点に安全配慮義務違反があったとしています。①は作業主任者の職務と定められている事項(有機則19条の2)ですし、②は安全衛生教育(安衛法60条の2、安全衛生指針、「有機溶剤業務従業者に対する労働安全衛生教育の推進について」)にあたります。また、③は有機溶剤作業における掲示(有機則24条)・表示(25条)にあたります。

社労士

 以上のほか、有機溶剤中毒にかかる判例として、内外ゴム事件(神戸地平2.12.27判例タイムズ764号165頁)、みくに工業事件(長野地諏訪支判平3.3.7労働判例588号64頁)があります。詳しくは、労働安全衛生広報の12月15日号で解説していますので、をご覧になって頂きたいと思います。


紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和



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「The検証!! 労働災害事件ファイル」(労働調査会)森井博子&森井利和共著

「実務に活かす労働審判」(労働調査会)森井利和著


事件ファイル

労働審判



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