FC2ブログ

ブラックバイト①

2016.12.29.Thu.01:54
社労士

労働基準広報の2016年2月1日号の

     弁護士&社労士がズバリ解決!
                   ~労働問題の「今」~

ですが、ブラックバイトについての下記の3つの質問に答えています。

① 自社ブランドの商品販売で全国展開している企業の労務担当をしております。
昨今、ブラックバイトが問題となっていて、厚生労働省も大学生等にアルバイトに関する調査を実施したと聞いております。当社はアルバイトを多く雇用しているので、このような問題のある雇用と指摘されないように気を付けなければと思っています。そこで、そもそも、ブラックバイトとはどのようなことを言うのかご教授ください。

② 当社は各地のショッピングモールにテナントとして入り当社の製品を販売しております。テナントでは、アルバイトも多いのですが、時々労務トラブルが発生しており、本社から指導に入ることもあります。
厚生労働省が実施した「大学生等に対するアルバイトに関する意識等調査」の結果では、「労働条件の明示」や「明示された労働条件」に問題があったものが多かったと聞いております。今後、各テナントの責任者を指導していきたいと思いますが、労働条件の明示に係る問題についてご教授ください。

③ 大学の学生課で学生の相談にのっております。
学生の相談の中に、アルバイト先でのシフトの強要により、休むこともできないことから過重労働になり、疲労により大学の授業が受けられなくなるケースもあります。
また、それを断ると一方的にシフトを削るという嫌がらせもされるということです。
シフトについては、問題も多いようですので、その点ご教授ください。

このうち、今回は、②の質問の箇所を紹介します。


*労働条件の明示


社労士 

 労働基準法第15 条では、使用者は労働契約の締結に際し、労働者に対して、賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならず、そのうち労働契約の期間に関する事項、就業の場所及び従事すべき業務に関する事項、所定労働時間を超える労働の有無に関する事項などは、これを書面により明示しなければならないとされています(労働基準法施行規則5条2項、3項)。
調査結果では、労働条件通知書の有無については、先述のとおりですが、労働基準法第15条で明示が求められている労働条件のうち、書面や口頭で明示された割合が低いものは、年次有給休暇の日数(有無を含む)17.1%、退職に関する事項26.6%、所定時間を超える労働(残業)の有無37.4%、休憩時間47.6%でした。また、賃金については、必要な明示がなされていないものが、 賃金の締日及び支払日について32.5%、 賃金の支払方法(振込か現金払いなど)について29.1%、 賃金額(アルバイト代の単価)について 23.0%がありました。


弁護士  

使用者に明示義務のある労働条件のなかでも、①労働契約の期間、②就業の場所及び従事すべき業務、③始業終業の時刻・休憩時間、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇など労働時間に関する事項、④賃金の決定・計算・支払の方法・賃金の締切日及び支払の時期などの賃金に関する事項、⑤退職に関する事項は書面による明示が求められます(労規則5条)。また、学生アルバイトの場合、正社員と比べて労働時間が短い(1週間の所定労働時間が通常の労働者よりも短い)ことが多いでしょうから、そのような場合はパートタイム労働法も適用されることが考えられ、⑥昇給、退職手当及び賞与の有無についても書面による明示が必要となります(パートタイム労働法6条1項、同規則2条)。ただ、この⑥については、ファックス、メール(出力により書面化できるもの)でも可能です。このように書面での明示が義務付けられているのは、労働条件があいまいになるのを防ぐためです。


社労士  

 労基法に定める労働条件の明示義務に違反した場合、刑事処罰の規定もあります(労基法121条1号)。労働契約の基本である労働条件、特に労働時間や賃金の明示がないとなると、使用者と労働者の思惑や期待が異なってしまって、トラブルの元になります。ですから、上記①ないし⑥にあたらない事項であっても、できるだけ書面で明示することが望ましいといえるでしょう。


*募集内容と実際の労働条件が異なる場合


社労士  

募集広告で言っていた労働条件と実際の労働条件が異なっていた場合もあります。事務職での募集広告だったのが面接に行って見ると現場作業だったとか、残業はないとの募集だったのに実際には残業があったというような場合があります。また、もらった賃金が募集広告よりも少なかったという場合がありますが、このような場合には民事上はどうなるのでしょうか?


弁護士 

 募集広告で確定的に賃金等の労働条件を提示し、面接その他の機会にもこれと異なる労働条件を提示されないまま就労がなされたという場合、それが労働条件となります。しかし、募集広告と異なる労働条件のある労働契約書や労働条件通知書を提示されてそれを労働者が受け入れた場合には、それが募集広告と異なっていたとしても、労働契約書や労働条件通知書で示されたものが労働条件となると思われます。賃金見込額として求人票に記載されていた金額が実際の賃金と異なっていた場合に差額賃金請求が認められなかった事例があります(八州事件、東京高判昭58.12.19労働判例421号33頁)。ですから、募集広告や求人票の記載がそのまま労働条件となるとは限りません。民事的には、労働契約の締結に際して明示された労働条件で労働契約が成立するということになります。しかし、募集広告や求人票に記載された労働条件について、これに反する特段の条件提示がされなかったという場合には、求人票に記載されたとおりの条件で労働契約が成立したとされることもあります(丸一商店事件、大阪地判平10.10.30労働判例750号29頁)。


社労士  

労働契約の締結にあたっての労働条件明示が重要ということですね。会社から見れば、募集広告や求人票にいったん記載した以上は、その後会社の事情が変更してそれらで示した労働条件を維持できなくなった場合、労働契約締結の段階でちゃんと明示しておかないと、募集広告や求人票での記載に拘束されるリスクがあるということですね。



紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和





 
スポンサーサイト



コメント

管理者のみに表示