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ブラックバイト③

2016.12.29.Thu.02:18
社労士

労働基準広報の2016年4月1日号の

     弁護士&社労士がズバリ解決!
                   ~労働問題の「今」~

ですが、ブラックバイトについての下記の2つの質問に答えています。

① 当社は飲食業の店舗を全国展開している企業です。大学生等のアルバイトも多数雇用しております。今回ある店舗で、社員の調理長が学生アルバイトに対してパワハラをしたということで問題となり、労働局のあっせんに持ち込まれています。調理長は自分が見込んだ学生アルバイトを調理師として一人前になるように教育したと言っています。ただ、そのやり方が、「ばか」「ふざけんな」といった罵詈雑言を浴びせたり、また時には野菜の切れ端を投げつけたりしたということです。こんな言動を繰り返された学生アルバイトはパニック障害を発症して学業にも支障をきたすことになったことから、友人が心配して本人を連れて総合労働相談コーナーに行ったということです。
また、現在、病院の治療費については労災請求をされています。
今回、調理長は自分が受けてきた調理師としての教育を行ったのだから問題はないとして店長も特段パワハラについての意識をしなかったため、問題を大きくしてしまったと思われます。
まだ、労働局のあっせんや労災認定の結論は出ていませんが、各店舗にパワハラの防止やパワハラに起因した精神障害の労災についての周知徹底を本社として始めなければならないと思っております。その時の留意点をご教授ください。

② 当社は、○○を拠点としてディスカウントストア―を数十店舗経営している企業です。深夜も営業しており、交替要員として学生アルバイトも多く使用しております。昨今景気がよくなったせいか、人手不足の状態が続いています。特に学生アルバイトについは、思うように確保できなくなってきています。また、せっかく雇った学生アルバイトも当社より良い条件のところがあればすぐに辞めていき困っています。そこで、できたら、辞める学生アルバイトに対して「新しいアルバイトを紹介するまでは、辞めることはできない。もし、辞めるのであれば新たに人を雇うときに必要な経費をアルバイト代から差し引く」というルールをつくりたいと思いますが、このようなルールを作るとことは、可能でしょうか?


このうち、今回は、②の質問の箇所を紹介します。

*有期雇用契約の途中解約


社労士 

 本件の場合、まず、学生アルバイトと会社とでどのような労働契約を締結していたか問題となります。学生アルバイトの場合、有期契約の場合が多いのでしょうから、それを前提として考えることにします。就業規則に、契約期間途中であっても14日の予告期間を置けば退職できる旨の定めがある場合には、それに従って退職できることになります。しかし、有期の労働契約の場合、就業規則や労働契約で特段の定めがない場合、民法では「やむを得ない事由」がある場合には「直ちに契約の解除をすることができる」とあります(628条)。これは、有期の雇用契約の場合、契約で特段の定めがないときには、契約期間の途中で解雇をすることもできないし、労働者の側から退職することもできないという意味ですね。


弁護士  

そうです。民法では、有期の雇用契約を契約期間中に解除するには、使用者側の解雇であっても、労働者側の退職であっても、「やむを得ない事由」を必要とするのです。使用者側からする解雇については労働契約法17条1項が適用され、これは強行規定ですので、「やむを得ない事由」がなくても解雇できるとの就業規則の規定があってもそれは無効になりますが、労働者側からの退職に関する側面では民法628条は任意規定です(ただし、反対説あり)ので、就業規則や労働契約で、やむを得ない事由がなくても予告期間を置きさえすれば退職が可能となっていれば、その就業規則が適用されます。


社労士
  

それでは、「やむを得ない事由」というのはどのようなものですか?


弁護士 

 労働者側からの退職について言えば、病気で働けなくなった、家族の介護をしなければならなくなったといった場合です。使用者が生命身体に危険を及ぼすような労働をさせたとか、賃金を支払わない場合もそうでしょう。先ほどの質問にあったように、激しい罵倒を浴びせられたと言ったような場合も「やむを得ない事由」にあたります。ただ、他に良い条件のアルバイト先があるために期間途中で退職するということでは、「やむを得ない事由」にはあたりません。


 社労士   

期間を定めて働いている契約の途中で、自分の側の理由で一方的に辞めると、損害賠償責任が発生することがあることになりますが、どの位の賠償が考えられるのですか?


弁護士
   

その場合の賠償額は、残りの期間働かなかったことによって、実際に会社が失った利益ですが、会社は賃金を支払わなくてすんでいるので、その差額は通常はそれほど大きなものではないですね。


*「新しいアルバイトを紹介するまでは、辞めることはできない」というルール


社労士
   

これが、「やむを得ない事由」があっても新しいアルバイトを紹介するまではやめることができないという意味であれば、期間の定めのある雇用契約でも「やむを得ない事由」がある場合には解除することができるとの民法628条に違反しますね。民法628条が労働者側からの退職(辞職)の要件を緩和できるかどうかに関しては強行規定であるか任意規定であるかは見解が分かれていますが、「やむを得ない事由」がある場合であっても退職できないとのルールは無効となります。また、そのようなルールは労働基準法第5条の趣旨にも反することになります。


弁護士   

退職を思いとどまらせるための説得が禁止されているわけではありませんが、このルールを押し付けて辞めさせないとなれば、それが不法行為となって損害賠償請求権が発生する場合もあると思います。


*「辞めるのであれば新たに人を雇うための経費をアルバイト代から差し引く」というルール


社労士   

このようなルールは、労働基準法第24条の全額払いの原則に反することになると思います。辞める前に既に働いた分の給与は、会社は全額支払わなければなりません。


弁護士  

 そうですね。このようなルールを設けることは、今まさに問題となっているブラックバイトということになってしまうと思います。


紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和

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