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受動喫煙被害を申告した派遣労働者

2016.12.31.Sat.10:12
社労士


 連載している労働安全衛生広報の2016年2月15日号、「受動喫煙被害を申告した派遣労働者」を取り上げています。事案は、女性派遣労働者が派遣先で受動喫煙被害にあっているというものです。

この中では
  *受動喫煙
  *改正安衛法
  *受動喫煙防止対策
  *派遣労働者の安全衛生
  *是正勧告書
  *受動喫煙と労働災害及び安全配慮義務
  
等について解説をしてます。

 
 今回は、この中から、受動喫煙と労働災害及び安全配慮義務についての部分を紹介します。


弁護士


 受動喫煙の危険性から労働者の健康を保護する義務のあることは、これまでの判例でもは認められています。しかし、現実に損害賠償請求が認められた例は、判例集に登載されているもののなかでは1件だけのようです。
江戸川区(受動喫煙損害賠償)事件、東京地判平16.7.12判例タイムズ1275号231頁)は、地方公共団体が、一定の範囲内において受動喫煙の危険性から職員の生命及び健康を保護するよう配慮する義務を負っているところ、受動喫煙による急性障害が疑われる旨の診断書を提示して善処を申し入れているにもかわらず、必要な措置を取らなかったとして5万円の慰謝料請求を認めています。
 そのほか、いくつか損害賠償請求の事案はあるのですが、一般論として受動喫煙の防止について安全配慮義務のあることは認められているものの、安全配慮義務違反があるとして損害賠償が認められたケースは、これまでのところ、判例集には見当たりません。受動喫煙が問題となった最近の裁判例として、積水ハウス事件(大阪地判平27.2.23労働経済判例速報2248号3頁)がありますが、これは、労働者が、勤務先で恒常的に受動喫煙を強いられていたのに会社が受動喫煙策を講じなかったため受動喫煙章及び化学物質過敏症にり患したとして会社に対して損害賠償を請求した事件です。裁判所は、会社側が事務所内を禁煙として休憩室内にビニールののれんやカーテン等で仕切られた喫煙スペースを設置するなどの分煙措置を講じ、従業員に対しては喫煙所や喫煙スペースで喫煙するよう指示指導しており、労働者の受動喫煙対策の申入れについても対応していたとして、「原告が、被告での勤務において、受動喫煙常態を強いられていたとまでは評することはできないのであって、被告が受動喫煙対策に関する安全配慮義務に違反したとまでは認めることはできない。」と判断しています。そのほか、タクシー乗務員が喫煙車両での乗務により慢性気管支炎にり患したとして、安全配慮義務違反または不法行為に基づいて会社に対して損害賠償請求をした事件でも、損害賠償請求が棄却されています(神奈中ハイヤー(受動喫煙)事件、東京高判平18.10.11労働判例943号79頁)。


紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和

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