FC2ブログ

蛍光灯移設作業中に感電

2016.12.31.Sat.10:24
社労士

 連載している労働安全衛生広報の2016年6月15日号、「蛍光灯移設作業中に感電」を取り上げています。事案は、洋菓子工場のレイアウト変更のため、蛍光灯の移設作業を行っていた被災者が、配線を圧着ペンチで結線しようとして感電したというものです。

この中では
  *労働者死傷病報告
  *災害調査
  *是正勧告書
  *気候と労働者災害
  *感電事故と安全配慮義務

等について解説をしてます。

 
 今回は、感電事故と安全配慮義務についての裁判例の部分を紹介していま。


弁護士


 本件では、低圧活線作業を労働者に行わせるにあたり、絶縁用保護具を着用させていなかったことが安全配慮義務違反の内容となると思われます。また、電気が一般的に危険なものであることが知られているのに、労働者が電源を遮断するために専務に連絡を入れないまま、また、絶縁用保護具を着用しないまま結線作業を行ったことは、一見すると労働者にも過失があるようにも見えます。しかし、電気の危険性を十分認識しないままであったのは、特別教育が実施されていなかったからとも考えられ、過失相殺があっても、それほど大きなものではないと思われます。
 活線に触れたために感電をした事故について、これまでも損害賠償請求が認められた判例があります。
 西松建設ほか事件(東京地判平22.3.19判例時報2078号57頁)では、東京電力(Y3)から水力発電所の新設工事のうち土木工事(放水路上口工事)を請け負った元請会社(Y1)からその土木工事を下請受注した下請会社(Y2)の労働者Xがハンマードリルでコンクリート吹付面に穿孔する作業をしていたところ、ハンマードリルに付属するケーブルの被覆損傷があったために、このケーブルの損傷部分に接触して感電して転倒した事故について、XからY1、Y2に対する損害賠償請求が認めらました。この事件では、発注者である東京電力(Y3)は労働者に直接の指示を与えて作業をさせていたという事情が認められないとして発注者の損害賠償責任は否定されましたが、元請会社Y1の従業員で当該工事の現場代理人であった工事事務所長が下請会社の労働者を含めて労働者に指揮をしていました。そこで、この判決は、上記労働安全衛生法20条3号、労働安全衛生規則336条(配線等の絶縁被覆の損傷を防止する等の措置)を引用して、元請会社Y1及び下請会社Y2には、「原告との間の労働契約上あるいはこれに準ずる法律関係上、原告に対し、本件ハンマードリルを含め、その使用に供する工具の安全性を点検し、これを確保する義務」があるとし、「その使用に供すべき工具等による労働災害を的確に防止するには、それらが実際に使用に供されるようになった後にも、事業者たる両被告において、適宜その安全性を確保する等の措置を講ずべき義務があることも当然と言える。」と判断しています。そして、Y1、Y2「両被告の、ハンマードリルを含めた電動工具の点検方法が十分でなかったことは明らかである。・・・電動工具を現場に持ち込んだ後も、ただ作業員の始業前点検のみに工具の安全性等の確保を委ねるのではなくある程度の時間をかけて定期的な点検を行う必要があったのであり、これを行っていなかった両被告による電動工具の点検体制には、やはり不備があったというべきである。」として、Y1及びY2には、「原告が使用した本件ハンマードリルの安全性を確保等する義務を負いながら、このための措置を怠ったものといえ、安全配慮義務の違反があり、また、不法行為(共同不法行為)上の過失があるというべきである。」としています。なお、この事件ではケーブルの損傷が容易には発見できないものであったことなどから、原告Xの過失相殺は否定されています。


紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和

スポンサーサイト



コメント

管理者のみに表示