スポンサーサイト

--.--.--.--.--:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ドラグショベルの用途外使用

2016.12.31.Sat.11:33
社労士


 連載している労働安全衛生広報の2016年12月15日号、「ドラグショベルの用途外使用」を取り上げています。事案は、鉄道の道床交換工事現場で、玉掛け用の繊維ベルトをアングル材に巻き、ドラグ・ショベルのバケットのポイント(以下、「爪」という。)に掛けて運ぼうとしたところ、繊維ベルトが切れ、鋼材が作業員の左足の甲に落下したものです。

この中では
  *労働者死傷病報告
  *元請・下請の責任
  *災害調査
  *是正勧告書
  *クレーン機能付きドラグ・ショベル
  *用途外使用と安全配慮義務違反

等について解説をしてます。

 
 今回は、用途外使用と安全配慮義務についての裁判例の部分を紹介します。


弁護士


 車両系建設機械であるバックホウ(ドラグ・ショベル)を、使用許容要件がないのに荷のつり上げに用いたことを、安全配慮義務違反であると判断した裁判例として、中山商事事件(大阪高判平18.11.17判例時報1981号18頁)があります。この事件は、神戸市が発注した工水管取替工事の現場で、下請会社の従業員が運転するバックホウが、バンドで水道管を吊ったままの状態でアーム部をもちあげたために、その水道管の上に乗って作業をしていた労働者が水道管と土留切梁との間に挟まれて死亡したという事故で、直接の雇用主である下請会社、元請会社、注文主である神戸市を被告として損害賠償請求をした事件です。なお、この事件は、下請会社が労働安全衛生法20条1号、労働安全衛生規則164条1項により起訴されて罰金刑を受けています。また、元請会社は、一審の途中に破産宣告を受けており、元請会社に対する訴訟は取り下げられています。
裁判で、下請会社は安衛則164条1項の立法趣旨は主たる用途ではない荷の吊上げにより荷や建設機械が不安定となり、荷が落下したり建設機械が転倒したりすることを防止する点にあるとして、同項違反と本件事故との因果関係を争ったのですが、裁判所は、同項は「労働者の危険を防止することをもその目的としている」とし、「本件事故は、労働安全衛生規則164条1項が想定する危険性が現実のものとなった場合であるということができるから、太郎(注 被災労働者)の死亡は、上記安全衛生規則164条1項と内容を同じくする安全配慮義務の不履行から、通常生ずべき損害であるということができ、相当因果関係があると認められる。」と判断しています。
 他方、大阪高裁は、発注者神戸市については、「神戸市は、当該工事における災害の発生の危険性が、具体的・客観的に明らかである場合にのみ、その監督員を通じて、近畿建設(注 元請会社)や一審被告中山商事に対し、工事の安全性を確保するための指示をしなければならない義務を負っていた」としたものの、「一審被告神戸市の監督員が、本件事故現場において一審被告中山建設がバックホウを使用していたのは移動式クレーンが使用できないためであると判断し、これを放置していたことは、近畿建設あるいは一審被告中山商事に対し、その使用を中止するよう指示する注意義務に違反したものであると認めることはできないし、本件事故当日に、バックホウを使用するに際し求められる合図者の配置を指示しなかったとしても、これを指示すべき注意義務に違反したものであると認めることはできない。」と判断し、神戸市に注意義務違反を認めた一審判決(神戸地判平17.11.11)の部分を取消しました。


紹介
 *社労士  森井博子 元労働基準監督署長
 *弁護士  森井利和

スポンサーサイト
コメント

管理者のみに表示
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。